MotoGP第12戦イギリスGPは、イギリスのシルバーストンサーキットで決勝レースを行なった。決勝日は好天に恵まれ、各クラス、ドライコンディションでレースが争われた。
MotoGPクラスでは、マルク・マルケス(ホンダRC213V)が優勝。MotoGPクラスの決勝レースは気温18度、路面温度29度のドライコンディションで争われた。スタートで飛び出したのはホルヘ・ロレンソ(ヤマハYZR-M1)。マルケスがロレンソを追い、5周目には3番手以下に約1秒のリードを取ってトップ争いを展開していく。ロレンソは一時コンマ5秒ほどのリードをマルケスに対して取ったものの、その差をマルケスが少しずつ縮め、レース中盤の10周目にはテールtoノーズのバトルとなる。しかし、12周目の7コーナーでマルケスのラインがややワイドとなり、その間に二人の差が若干広がる。マルケスはこの差をすぐに縮め、再びテールtoノーズのバトルに持ち込むと、残り7周となった14周目にロレンソをかわしてトップに浮上する。
しかし、ロレンソもマルケスをぴたりとマーク。16周目の7コーナーでマルケスからトップの座を奪還する。終盤に入って、マルケスは再びロレンソをチャージ。サイドbyサイドのバトルを続け、14コーナーのインに飛び込んでトップ奪還に成功。そこからロレンソを引き離すと、ロレンソに勝負を仕掛けるチャンスを与えずにトップでチェッカーを受け、今シーズン11勝目を記録した。ロレンソはコンマ732秒差の2位でゴール。
レース序盤からバレンティーノ・ロッシ(ヤマハYZR-M1)、ダニ・ペドロサ(ホンダRC213V)、アンドレア・ドビジオーゾ(ドゥカティGP14)の3人によって接戦が展開された3番手争いは、序盤はドビジオーゾがリード。6周目にロッシがかわして3番手に浮上するが、追い上げてきたペドロサが二人に追いつき、中盤の9周目の16コーナーで3番手となる。しかし、ロッシは13周目の7コーナーでペドロサから3番手の座を奪回し、最終ラップまで続いた接戦のバトルを抑えて3位表彰台を獲得。シルバーストン初表彰台となった。ペドロサが4位、ドビジオーゾが5位でゴール。
6位にポル・エスパロガロ(ヤマハYZR-M1)。7位にステファン・ブラドル(ホンダRC213V)。8位にアンドレア・イアンノーネ(ドゥカティGP14)。9位にアレックス・エスパロガロ(フォワード-ヤマハ)。10位にスコット・レディング(ホンダRCV1000R)。ヨニー・ヘルナンデス(ドゥカティGP14)が11位、カル・クロッチロウ(ドゥカティGP14)が12位、カレル・アブラハム(ホンダRCV1000R)が13位でゴール。青山 博一(ホンダRCV1000R)は中盤まで16番手付近を走っていたが、最終的に14位でチェッカーを受け、ポイントを獲得した。
アレックス・デ・アンジェリス(フォワード-ヤマハ)が15位で続き、16位にレオン・キャミア(ホンダRCV1000R)。17位にマイケル・ラバティ(PBM)。18位にダニロ・ペトルッチ(ART)。19位にエクトル・バルベラ(FTR)。20位にマイク・デ・ミオ(FTR)。21位にブロック・パークス(PBM)の順。ブラッドリー・スミス(ヤマハYZR-M1)は中盤まで6番手争いを展開していたものの、11周目にマシントラブルでスローダウン。ピットに戻ったが再び走り出し、1周遅れの22位でチェッカーを受けた。アルバロ・バウティスタ(ホンダRC213V)は7番手争いのバトルを展開中の18周目に、転倒リタイアに終わった。
Moto2クラスではエステブ・ラバット(カレックス)が優勝した。Moto2クラスの決勝レースは気温17度、路面温度27度のドライコンディションで争われた。ポールポジションのヨハン・ザルコ(ケータハム・スーター)が好スタートでレースをリード。ミカ・カーリョ(カレックス)が続き、序盤から9人のライダーが接戦のトップ集団を形成。ザルコとカーリョがトップの座を入れ替えながら前半戦を終える。
中盤の8周目あたりから、ザルコとジョナス・フォルガー(カレックス)、マーベリック・ビニャーレス(カレックス)が激しく2位を争う中で、トップにいたカーリョは2番手以下との差を広げて単独トップに立つ。
ラバットはレース中盤まで2番手争いの3人の背後につけながらチャンスをうかがっていたが、残り4周あたりで単独2番手に浮上すると、この時点で約1秒4のリードを築いていたカーリョの追撃を始める。ラバットはカーリョとの差を縮め、残り2周で背後に迫り、残り1周でトップに立つ。この二人の争いに最終ラップでビニャーレスも追いつき、最後は3台のバトルとなる。最終ラップにトップで入ったのはカーリョだったが、8コーナーでラバットがカーリョをかわしてトップに立つと、そのままポジションを守りきって優勝。今季6勝目をマークした。
僅差の2位にカーリョ、3位にビニャーレスが続き、カーリョは前戦チェコに続いて2位入賞。ビニャーレスは今シーズン5回目の表彰台を獲得した。
最後はトップ争いに加わることができなかったザルコが4位でゴール。5位にトーマス・ルティ(スーター)。6位にフランコ・モルビデリ(カレックス)。7位にサム・ロウズ(スピードアップ)。8位にハーフィス・シャハリン(カレックス)。9位にマティア・パッシーニ(フォワード・KLX)。10位にアクセル・ポンス(カレックス)の順で続いた。
中上 貴晶(カレックス)は15位入賞。フォルガーは5番手を争っていた13周目に転倒、外側にいたシモーネ・コルシ(フォワード・KLX)がこれに巻き込まれ、両者転倒リタイアとなった。長島 哲太(TSR)は土曜日のフリー走行3回目で、転倒したアズラン・シャー(カレックス)のマシンに突っ込まれて転倒。右肩を脱臼、骨盤の小さな骨折、右足脛骨と腓骨の骨折の重傷を負った。特に右足は開放骨折し、手術を受けることになったため今レースを欠場。
Moto3クラスはアレックス・リンス(ホンダ)が優勝した。Moto3クラスの決勝レースは気温19度、路面温度31度のドライコンディションで争われた。スタートでレースをリードしたのはリンス。しかし、2周目にアレックス・マルケス(ホンダ)がトップを奪う。前戦チェコに続いて、今回も15台前後のマシンがトップ集団を形成する展開に。中盤過ぎ、後続から抜け出したリンス、マルケス、アレナ・バスティアニーニ(KTM)、ミゲール・オリビエラ(マヒンドラ)が最終ラップまでトップの座を入れ替えながら、接戦を展開した。最終ラップに入るコントロールライン上をトップで通過したのはバスティアニーニだったが、7コーナーでマルケスがトップに浮上、リンスも2番手に上がる。3番手に後退したバスティアニーニは13コーナーでリンスのインをついて前に出ると、マルケスを追う。しかし、15コーナーから16コーナーの間のストレートで、リンスがスリップストリームから抜け出し、16コーナー進入でトップに浮上。マルケスも再逆転をねらったが、最終コーナーをわずかにトップで立ち上がったリンスが今シーズン初優勝を達成した。コンマ011の僅差で2位にマルケス、マルケスからコンマ050差の3位にバスティアニーニが続いた。
最後までトップ争いに加わったオリビエラは僅差の4位でゴール。5番手以下の集団も接戦でのゴールとなり、5位にヤコブ・コンフェイル(KTM)が入賞。ポイントリーダーのジャック・ミラー(KTM)は中盤にトップ争いから遅れ、後方集団に飲み込まれてしまい苦戦、最後はなんとか6位でチェッカーを受けた。7位にニッコロ・アントネッリ(KTM)。8位にアレックス・マスブー(ホンダ)。9位にダニー・ケント(ハスクバーナ)。10位にニコラス・アジョ(ハスクバーナ)の順で続いた。