MotoGP第16戦オーストラリアGPは、オーストラリアのフィリップアイランドサーキットで決勝レースを行なった。
MotoGPクラスはバレンティーノ・ロッシ(ヤマハYZR-M1)が優勝した。MotoGPクラスの決勝レースは気温16度、路面温度29度のドライコンディションで争われた。レースは2列目からスタートしたブラッドリー・スミス(ヤマハYZR-M1)の好スタートで始まるが、2コーナーでホルヘ・ロレンソ(ヤマハYZR-M1)がトップに立つ。しかし、1周目をトップで戻って来たのはポールスタートのマルク・マルケス(ホンダ RC213V)。マルケスは2周目にはコンマ7秒のリードを取って、独走体勢に入ると、27周のレースの中盤を過ぎた17周目には約4秒のリードを築き、トップを独走していた。ところが、18周目の下り右10コーナーの進入で、突然フロントからスリップダウン。リタイアに終わってしまう。
これで序盤から続いていたロレンソとの2番手争いをかわして、2番手をキープしていたロッシがトップに浮上。ロレンソは2番手となったものの、ロッシから遅れ始める。序盤の4番手争いを抜け出して単独4番手を走行、マルケスのリタイアにより単独3番手となったカル・クロッチロウ(ドゥカティGP14)が、レース終盤に入った20周目あたりで急速に2番手ロレンソとの差を詰める。23周目、ついにクロッチロウは4コーナーヘアピンでロレンソのインをついて2番手に浮上。この時点でトップを行くロッシと2番手のクロッチロウとの差は約6秒ほどあったが、クロッチロウは少しずつその差を縮めていた。ところが、最終ラップのヘアピン進入でクロッチロウはフロントからスリップダウンしてリタイアとなる。
ロッシは最終的に10秒以上の大差をつけて優勝。MotoGPクラス参戦250戦目となるレースで、今シーズン2勝目を飾った。フロントタイヤにエクストラソフトをチョイスしていたロレンソは、終盤にペースが上がらなかったものの2位でゴール。3位にMotoGP初表彰台となるスミスが入賞。4位にアンドレア・ドビジオーゾ(ドゥカティGP14)が続いた。
最後まで3人のライダーによる接戦のバトルとなった5位争いを制して、エクトル・バルベラ(ドゥカティGP14)が5位入賞。オープンクラスのトップとなった。
6位にアルバロ・バウティスタ(ホンダRC213V)、7位にスコット・レディング(ホンダRCV1000R)のホンダグレシーニ勢。3人による8位争いを制した青山 博一(ホンダRCV1000R)は8位に入賞。9位にアレックス・デ・アンジェリス(フォワード-ヤマハ)。10位にニッキー・ヘイデン(ホンダRCV1000R)が僅差で続いた。ヨニー・ヘルナンデス(ドゥカティGP14)が11位。ダニロ・ペトルッチ(ART)が12位、マイケル・ラバティ(PBM)が13位、マイク・デ・ミオ(アビンティア)が14位に入賞。
ポル・エスパロガロ(ヤマハYZR-M1)は4番手走行中の25周目、4コーナーヘアピンでスリップダウンして転倒リタイアに終わった。アレックス・エスパロガロ(フォワード-ヤマハ)は4番手走行中の20周目に、4コーナーヘアピンでステファン・ブラドル(ホンダRC213V)に追突される。転倒は免れたものの、シートカウルを失いリタイア。ブラドルは転倒し、その場でリタイアとなった。ダニ・ペドロサ(ホンダRC213V)は6周目の4コーナーヘアピンで、アンドレア・イアンノーネ(ドゥカティGP14)に追突され、イアンノーネは転倒リタイア。ペドロサはマシンにダメージを受け、ピットに戻ってリタイアとなった。
カレル・アブラハム(ホンダRCV1000R)は4周目に転倒リタイア。ブロック・パークス(PBM)は5周目にピットに戻ってリタイアとなった。
ランキング2位争いはロッシが255ポイントでランキング2位、ロレンソが247ポイントでランキング3位となり、ノーポイントに終わったペドロサはランキング4位に後退した。
Moto2クラスはマーベリック・ビニャーレス(カレックス)が優勝。Moto2クラスの決勝レースは気温16度、路面温度29度のドライコンディションで争われた。ポールポジションから好スタートを切ったのはエステブ・ラバット(カレックス)。しかし、ラバットは4コーナーホンダヘアピンの進入でラインを外し、6番手に後退。これでミカ・カーリョ(カレックス)がトップに立つ。カーリョは3周目にファステストをたたき出し、逃げにかかるかに見えたが、2番手までポジションを取り戻したラバットが6周目にファステストを記録。7周目の4コーナーで今度はカーリョのラインがややワイドになってしまい、二人の差が急激に縮まる。
8周目のストレートエンドでカーリョのスリップから抜け出したラバットが再びトップに浮上。この時点でトップ争いはラバット、カーリョ、ビニャーレス、トーマス・ルティ(スーター)、サム・ロウズ(スピードアップ)による5台の戦いとなる。トップに浮上したラバットだったが、またしてもヘアピンでミスを犯してしまい、立ち上がりでカーリョがトップを奪還する。しかし、9周目のへアピンでラバットはカーリョからトップを奪い返すと、今度は逃げの体勢に入る。この時点で2番手のビニャーレスとの差は約コンマ4秒あった。
しかし、10周目のヘアピンでラバットがラインを外し、その間にビニャーレスがトップに浮上。13周目の1コーナーでルティがトップに出るが、ビニャーレスもすぐにトップを奪い返す。そして、15周目のヘアピンで今度はビニャーレスがラインを外し、ルティがトップに。5台による接戦は終盤に入っても続く。
15周目にトップに立ったのはラバット。ところが17周目の4コーナーヘアピンでラバットはまたもやラインを外し、カーリョがトップに浮上、ビニャーレスが2位で続く。そして、18周目の4コーナーヘアピンでカーリョがマシンを大きく振られ、5番手まで後退してしまう。これでトップはビニャーレスに。ラバットが2番手で続く。
ビニャーレスは残り4周となった21周目あたりから逃げ始める。22周目には2番手を行くラバットとの差をコンマ7秒に広げ、最終的に1秒以上のリードを取って今シーズン3勝目をマークした。2番手争いは、一度後退しながら22周目にファステストラップを更新しながら猛追してきたカーリョがラバットとルティの2バトルに加わり、最後は3台での接戦となる。最終ラップのストレートエンドで2位に浮上したルティがポジションを守りきってゴール。僅差の3位にラバットが続き、カーリョは4位入賞。
これで、チャンピオン争いはランキングトップのラバットが310ポイント、41ポイント差のランキング2位にカーリョ。カーリョから20ポイント差のランキング3位にビニャーレスとなり、タイトル決定が次戦以降に持ち越しとなった。
ロウズは単独5位でチェッカー。6位にサンドロ・コルテセ(カレックス)、7位にマーセル・シュローター(テック3)。接戦となった8位争いをドミニク・アガター(スーター)が制し、9位にハビエル・シメオン(スーター)、10位にジョルディ・トーレス(スーター)、11位に中上 貴晶(カレックス)が僅差で続いた。小山知良(NTS)は24位でチェッカーを受けた。
Moto3クラスはジャック・ミラー(KTM)が優勝した。Moto3クラスの決勝レースは気温24度、路面温度27度のドライコンディションで争われた。好スタートでトップに立ったのはアレックス・マルケス(ホンダ)。序盤から10台前後の大集団がトップ集団を形成。マルケス、アレックス・リンス(ホンダ)、ミラーが先頭を入れ替えながら周回を重ねていく。レース中盤の10周目にトップ集団の中からファン・ゲバラ(カレックス‐KTM)とイサック・ビニャーレス(KTM)が接触。ゲバラは転倒、ビニャーレスがコースアウトしてトップ争いから脱落。これでトップ争いは7台での戦いとなる。
その後、トップ争いは毎周のように順位を入れ替えながら激しいバトルを展開。その中からロマーノ・フェナティ(KTM)が22周目の3コーナーで転倒。続く4コーナーで、ミラーがダニー・ケント(ハスクバーナ)とブラッド・ビンダー(マヒンドラ)のインをついた際、アウト側にいたケントとビンダーが接触、転倒してしまう。
トップ争いをミラー、マルケス、リンス、エフレン・バスケス(ホンダ)による戦いで迎えた最終ラップ。1コーナーにトップで入ったミラーが、ゴールライン直前にスリップストリームで追ったマルケスとリンスを僅差で振り切り、ホームレースで優勝を飾った。コンマ029秒差の2位にマルケス、マルケスからコンマ0003秒の3位にリンスが入賞。4位にバスケス、5位にジョン・マクフィー(ホンダ)。6位にアレックス・マスブー(ホンダ)が続く。ミゲール・オリビエラ(マヒンドラ)が7位。ヤコブ・コンフェイル(KTM)が8位。ニコラス・アジョ(ハスクバーナ)が9位。ニッコロ・アントネッリ(KTM)が10位に入賞した。
この結果、チャンピオン争いはマルケスが251ポイントでトップ、ミラーが20ポイント差でランキング2位、リンスが41ポイント差でランキング3位となった。