MotoGP第17戦マレーシアGPは、マレーシアのセパンサーキットで決勝レースを行なった。決勝日は好天に恵まれ、全クラス、ドライコンディションでレースが争われた。
MotoGPクラスではマルク・マルケス(ホンダRC213V)が優勝した。MotoGPクラスの決勝レースは気温36度、路面温度54度のドライコンディションで争われた。好スタートを切ったのはダニ・ペドロサ(ホンダRC213V)。ホルヘ・ロレンソ(ヤマハYZR-M1)が1コーナーでマルケスのインをつき、マルケスはアウト側に膨らんでポジションを落としてしまう。1周目をトップで戻ってきたのはロレンソ。ペドロサ、アンドレア・ドビジオーゾ(ドゥカティGP14)、バレンティーノ・ロッシ(ヤマハYZR-M1)、ステファン・ブラドル(ホンダRC213V)の順で続き、マルケスは1周目を6番手で通過する。
2周目にロッシがドビジオーゾをかわして3番手に浮上。マルケスもドビジオーゾをかわして4番手に浮上する。2周目の最終コーナーで2番手を走っていたペドロサが転倒。再スタートしたものの、最下位に転落する。これでトップ争いは、ロレンソ、ロッシ、マルケスによる3台でのバトルとなる。ロレンソは逃げに掛かるかに見えたが、ロッシとマルケスとの差は広がらない。ロッシもロレンソに仕掛けるが前に出ることはできず、中盤まで3人の接戦が続く。
レース中盤の10周目の最終コーナーでロレンソのラインがややワイドになったすきに、ロッシがトップに浮上。マルケスもロレンソをかわして2番手で続く。トップに立ったロッシだったが、続く11周目の最終コーナーで今度はロッシのラインがワイドになり、マルケスがトップに浮上する。
このあたりから3番手のロレンソがトップ争いから遅れ始め、トップ争いはマルケスとロッシの一騎打ちとなる。接戦はレース終盤まで続くが、ロッシはマルケスになかなか仕掛けることができない。20周のレースの16周目あたりから、マルケスとロッシの差が広がっていく。最終的にマルケスが約2秒半のリードを保ってトップでチェッカーを受け、シーズン12勝目を記録。この記録はミック・ドゥーハンが持つ最高峰クラスのシーズン最多勝記録に並ぶもの。
ロッシは2位に入賞。ロレンソが3位で続いた。4位争いは終盤、ブラドルとブラッドリー・スミス(ヤマハYZR-M1)が接戦を展開。僅差で逃げ切ったブラドルが4位、スミスが5位でチェッカーを受けた。二日目のフリー走行3回目の転倒で左足を負傷していたポル・エスパロガロ(ヤマハYZR-M1)は痛みを押して決勝に出走。6位でチェッカーを受けた。
7位にヨニー・ヘルナンデス(ドゥカティGP14)。ドビジオーゾは16周目、4番手走行中にトラブルでスローダウン。しかし、そのまま走り切り8位でゴールした。オープンクラストップとなる9位にエクトル・バルベラ(ドゥカティGP14)が入賞。10位にスコット・レディング(ホンダRCV1000R)が続いた。
青山 博一(ホンダRCV1000R)は5周目から9番手をキープしていたが、17周目に転倒。再スタートし、11位入賞を果たした。マイケル・ラバティ(PBM)が12位、マイク・デ・ミオ(FTR)が13位、ブロック・パークス(PBM)が14位に入賞。
ペドロサは再スタート後、11番手までポジションを回復していた13周目に二度目の転倒を喫してリタイア。アレックス・エスパロガロ(フォワード-ヤマハ)とアルバロ・バウティスタ(ホンダRC213V)は2周目の1コーナーで転倒リタイア。カル・クロッチロウ(ドゥカティGP14)はマシントラブルにより、5周目にリタイア。ニッキー・ヘイデン(ホンダRCV1000R)は10番手走行中の7周目に9コーナーで転倒リタイア。カレル・アブラハム(ホンダRCV1000R)は12周目に転倒リタイア。アレックス・デ・アンジェリス(フォワード-ヤマハ)とダニロ・ペトルッチ(ART)はリタイアとなり、出走22台中完走14台という、厳しいレースとなった。
注目のランキング2位争いは、ロッシが275ポイントでランキング2位をキープし、ロレンソが12ポイント差で追う。ペドロサは2戦連続ノーポイントに終わったため、この争いから脱落してランキング4位が確定。ロッシとロレンソのチームメイト同士が最終戦バレンシアで決着をつけることになった。
Moto2クラスはマーベリック・ビニャーレス(カレックス)が優勝。Moto2クラスの決勝レースは気温34度、路面55度のドライコンディションで争われた。スタートからレースをリードしたのはエステブ・ラバット(カレックス)。ラバットはレース中盤の9周目までトップをキープするが、追い上げて来たミカ・カーリョ(カレックス)が10周目の1コーナーでラバットをかわしてトップに浮上。ビニャーレスも続く4コーナーでラバットをかわして2番手に上がる。カーリョがこの後リードを広げるかに見えたが、ビニャーレスはその差を縮めて14周目の4コーナーで前に出る。しかし、カーリョもクロスラインですぐにトップを奪還。
続く15周目の1コーナーで再びビニャーレスがトップに出るが、2コーナーの切り替えしで再びカーリョが前に。しかし、ビニャーレスもすぐにカーリョをかわしてトップに立つと、カーリョを引き離しにかかる。レース終盤にはその差を約2秒に広げたビニャーレスがトップでチェッカーを受け、前戦オーストラリアに続いて2連勝を飾った。
カーリョは2位でゴール。タイトル確定のかかったラバットはポジションキープの作戦に切り替え、3位でゴール。今シーズンのMoto2クラスチャンピオンを獲得し、ラバットにとって初のグランプリタイトルとなった。
4番手争いは最終ラップで3人のライダーによる激しい競り合いが展開され、これを制したのは追い上げたヨハン・ザルコ(ケータハム・スーター)。僅差の5位にドミニク・アガター(スーター)、6位にフリアン・シモン(カレックス)が続いた。
7位にサンドロ・コルテセ(カレックス)、8位にトーマス・ルティ(スーター)、9位にジョナス・フォルガー(カレックス)、10位にマーセル・シュローター(テック3)が入賞。小山知良(NTS)は23位でゴール。中上 貴晶(カレックス)は16番手走行中の7周目の最終コーナーで転倒、リタイアに終わった。
Moto3クラスはエフレン・バスケス(ホンダ)が優勝。Moto3クラスの決勝レースは気温34度、路面温度50度のドライコンディション。序盤から、集団での激しくポジションを入れ替えるレースが展開された。コントロールライン上でトップをリードしていたのはバスケスだったが、ジャック・ミラー(KTM)が1コーナーの進入で鋭いブレーキングでトップを奪うと、後続集団を率いながら大半のレースをリードする。
レース終盤にはバスケス、ミラー、アレックス・リンス(ホンダ)、アレックス・マルケス(ホンダ)、ダニー・ケント(ハスクバーナ)の6人によるトップ集団が形成。タイトルを争うミラーとマルケスは何度も接触するバトルを展開した。
最終ラップの1コーナーでミラーとマルケスが競り合い、交錯する間にトップに立ったのはリンス。しかし直後の2コーナーでミラーがトップを奪い返し、そのままトップでバックストレートエンドの最後の勝負を迎える。マルケスは1コーナーの攻防で5番手に後退していた。
最終コーナーでリンスがミラーのインをつくが、二人のラインが交錯。そのすきにアウトから前に出たバスケスがトップでチェッカーを受け、今シーズン2勝目を記録した。僅差の2位にミラー、3位にリンスが続き、その後方ではケントとマルケスが接戦の4位争いを展開。ケントがわずかに競り勝ち、マルケスは5位でゴール。この結果、チャンピオンシップ争いはマルケスがランキングトップをキープしたが、ランキング2位のミラーとの差は11ポイントに縮まり、タイトル決定は最終戦バレンシアに持ち越しとなった。ランキング3位のリンスはマルケスとの差が36ポイントに広がったため、タイトルの可能性が消滅した。
6位にアレックス・マスブー(ホンダ)、7位にニッコロ・アントネッリ(KTM)、8位にヤコブ・コンフェイル(KTM)、9位にカレル・ハニカ(KTM)、10位にアレナ・バスティアニーニ(KTM)が入賞。最終ラップまでトップ集団につけていたジョン・マクフィー(ホンダ)は、最終ラップの6コーナーで転倒しリタイア。中盤までトップ集団につけていたロマーノ・フェナティ(KTM)は11周目にピットに戻ってリタイア。イサック・ビニャーレス(KTM)も6番手を争っていた12周目の1コーナーで転倒。リタイアに終わった。