MotoGP第15戦日本GPは、栃木県のツインリンクもてぎで決勝レースを行なった。決勝日はやや雲が多めながら、各クラス、ドライコンディションでレースが開催された。
MotoGPクラスではホルヘ・ロレンソ(ヤマハYZR-M1)が優勝した。24周で争われた決勝レースで好スタートを切ったのは、バレンティーノ・ロッシ(ヤマハYZR-M1)。それに続くのはアンドレア・ドビジオーゾ(ドゥカティGP14)、ロレンソ。マルク・マルケス(ホンダRC213V)は1コーナー進入でイン側のロレンソとわずかに接触し、遅れてしまう。
1周目をロッシがトップで戻り、ロレンソ、ドビジオーゾ、アンドレア・イアンノーネ(ドゥカティGP14)、マルケスの順で続く。序盤はロッシ、ロレンソ、ドビジオーゾがトップ集団を形成。やや離されていたマルケスは、2周目にイアンノーネをかわし、4番手に浮上するとトップ集団追撃にかかる。
ロッシは5周目までレースをリードしたが、5周目のコース終盤、90度コーナーの進入でロレンソがロッシをかわしてトップに浮上。マルケスもトップ集団に追いついてトップ争いは4台となるが、トップに立ったロレンソは少しずつリードを広げていく。9周目のS字コーナーでマルケスがドビジオーゾをかわして3番手に浮上。ここからロッシとマルケスの激しい2番手争いが展開される。
ロッシとマルケスが競り合ったことでロレンソはリードを広げ、レース中盤の11周目には、2番手争いの二人との差は1秒以上に広がっていた。ロッシとマルケスによる2番手争いは、15周目のV字コーナーでインに飛び込んだマルケスが一度は前に出る。しかし、ヘアピンでマルケスのラインがややワイドになる間に、ロッシがインから前に出て2番手を奪い返す。続く16周目のV字コーナーで再びマルケスがロッシのインをついて前に出ると、今度はヘアピンも抑えきって2番手に浮上。ロレンソの追撃にかかる。
しかし、ロレンソの方がわずかにペースがよく、なかなか差を詰めることができない。終盤にその差が少し縮まったものの、ロレンソはリードを守りきり、前戦アラゴンGPに続いて連勝を飾った。
マルケスは2位でチェッカーを受け、チャンピオンを確定。ウイニングランでは3コーナー手前で待ち構えていた弟のアレックスにフラッグを受け取った後、3コーナーのグラベル上で、チャンピオン獲得のセレモニーを行なった。サムライ姿の人物から刀を受け取ったマルケスは、その刀でチャンピオン獲得を祝うバルーンのひもを切って打ち上げる。さらに、着物姿の女性から金色のチャンピオンヘルメットとチャンピオンベストを受け取ると、それらを身に着けてチャンピオン獲得のウイニングランを行なった。
ロッシは最後までマルケスを追ったが、コンマ964秒差の3位でチェッカー。ロッシにコンマ555差まで追い上げたダニ・ペドロサ(ホンダRC213V)が4位に入り、ポイントランキングではロッシとペドロサが同ポイントのランキング2位に並んだ。
ドビジオーゾは5位、イアンノーネが6位に入賞。7位にステファン・ブラドル(ホンダRC213V)、8位にポル・エスパロガロ(ヤマハYZR-M1)、9位にブラッドリー・スミス(ヤマハYZR-M1)、10位にアルバロ・バウティスタ(ホンダRC213V)の順で続いた。
アレックス・エスパロガロ(フォワード-ヤマハ)がオープンクラストップとなる11位。ワイルドカード参戦の中須賀 克行(ヤマハYZR-M1)が12位。青山 博一(ホンダRCV1000R)は終盤、中須賀に迫り、コンマ066秒の僅差で13位でチェッカーを受けた。ニッキー・ヘイデン(ホンダRCV1000R)が14位、エクトル・バルベラ(ドゥカティGP14)が15位に入賞。
以下、16位にスコット・レディング(ホンダRCV1000R)、17位にアレックス・デ・アンジェリス(フォワード-ヤマハ)、18位にマイケル・ラバティ(PBM)、19位にマイク・デ・ミオ(FTR)、20位にブロック・パークス(PBM)の順でチェッカーを受けた。
ヨニー・ヘルナンデス(ドゥカティGP14)は11位走行中の最終ラップに転倒を喫しリタイア。カレル・アブラハム(ホンダRCV1000R)は15周目に転倒リタイア。カル・クロッチロウ(ドゥカティGP14)は2周目に4コーナーで転倒しリタイア。ダニロ・ペトルッチ(ART)もリタイアとなった。
Moto2クラスはトーマス・ルティ(スーター)が優勝。好スタートでトップに立ったルティは、3周目には2番手以下に約1秒のリードを取り独走。2番手争いはヨハン・ザルコ(ケータハム・スーター)、マーベリック・ビニャーレス(カレックス)、ミカ・カーリョ(カレックス)、エステブ・ラバット(カレックス)による接戦が展開。セカンドグループの先頭を走るザルコのペースが上がらず、これによりルティの独走を許すことになった。
10周目の4コーナーでビニャーレスがザルコをかわして2番手に浮上すると、続く5コーナーではラバットもザルコをかわして3番手に浮上。ここから二人がトップを行くルティを追う。ルティは12周目にファステストラップを更新して2番手との差を2秒以上に開くが、中盤から終盤にかけて2番手のビニャーレスがルティとの差を詰め始める。ビニャーレスは15周目にはファステストラップを記録し、その一方で3番手のラバットが遅れ始める。
残り4周となった19周目、ルティとビニャーレスの差は1秒を切ったが、そこからルティは20周目には自己ベストを更新してビニャーレスを寄せ付けず、今シーズン初優勝。Moto2クラス通算3勝目を獲得した。
2位にビニャーレス、3位にラバットが入賞。ザルコが4位、5位にカーリョ、6位にフリアン・シモン(カレックス)、7位にフランコ・モルビデリ(カレックス)が続いた。
8位にハーフィス・シャハリン(カレックス)。9位にリカルド・カルダス(テック3)。10位にハビエル・シメオン(スーター)。中上 貴晶(カレックス)は13位入賞。小山知良(NTS)は23位、高橋裕紀(モリワキ)は26位でチェッカーを受けた。
Moto3クラスはアレックス・マルケス(ホンダ)が優勝した。ポールポジションのダニー・ケント(ハスクバーナ)が好スタートを切り、トップで1コーナーに進入。中団ではアレックス・リンス(ホンダ)が接触によりラインを外してしまう。これを避けたニコラス・アジョ(ハスクバーナ)が、2コーナー手前でハイサイド転倒。さらに後方ではワイルドカード参戦の大久保 光(ホンダ)と山田 誓己(ホンダ)が転倒。大久保、山田は1周もできずリタイアに終わってしまう。
序盤は6人のライダーがトップ集団を形成。ケントが集団をリードし、マルケスも何度かトップに立ったものの、5周目以降はジャック・ミラー(KTM)がレースをリードしながら、集団の中で順位を入れ替える目まぐるしいバトルが続く。レース中盤の12周目、5番手を走っていたミゲール・オリビエラ(マヒンドラ)が、セカンドアンダーブリッヂ出口の12コーナーで転倒。トップ集団はミラー、マルケス、ブラッド・ビンダー(マヒンドラ)、ジョン・マクフィー(ホンダ)、ケントの5人に加え、セカンド集団を抜け出してトップ集団に追いついたエフレン・バスケス(ホンダ)による6人の戦いとなる。
レース終盤はミラーが集団をリード。後方につけていたケントが前に出て2番手に浮上し、最終ラップに進入。6人のライダーによる接戦は、ヘアピンを立ち上がり、バックストレートから90度コーナー進入の戦いとなる。
90度コーナーに前で進入したのはケントだったが、コーナーへのアプローチがイン側すぎたためラインに乗れず、立ち上がりでアウトに膨らむ。ミドルからアプローチしたミラーも、同じくラインに乗れず膨らんでしまう。一方、ストレートエンドで早めにアウトに寄り、セオリーどおりのラインを選んだマルケスが、インから前に出てトップに浮上。今シーズン3勝目を記録して、昨年に続き日本GP2連覇となった。
ケントとミラーが90度コーナー立ち上がりのラインを外したすきに、浮上したバスケスが2位でチェッカーを受け今シーズン6回目の表彰台を獲得。今シーズンよりニューマシンを投入したホンダ勢がワンツーフィニッシュを飾った。3位に続いたビンダーが、今シーズン2度目の表彰台。マクフィーが4位、ミラーが5位、ケントが6位でチェッカーを受けた。
7位にロマーノ・フェナティ(KTM)。8位にアレナ・バスティアニーニ(KTM)。9位にニッコロ・アントネッリ(KTM)。リンスはセカンドグループの中で競り合いを繰り広げ、10位で入賞となった。
チャンピオンシップ争いでは、マルケスが231ポイントでトップをキープ。ミラーは25ポイント差のランキング2位、リンスが37ポイント差のランキング3位となった。