MotoGP第6戦イタリアGPは、イタリアのムジェロサーキットで決勝レースを行なった。決勝日も好天に恵まれ、全クラス、ドライコンディションでレースが争われた。
MotoGPクラスでは、マルク・マルケス(ホンダRC213V)が優勝した。MotoGPクラスの決勝レースは気温26度、路面温度45度のドライコンディションで争われた。
スタートで飛び出したのはアンドレア・イアンノーネ(ドゥカティGP14)だったが、ホルヘ・ロレンソ(ヤマハYZR-M1)が1周目をトップで戻り、イアンノーネが2番手、マルケスが3番手で続く。マルケスは2周目のストレートエンドでイアンノーネのスリップストリームから抜け出し、1コーナーで2番手に浮上するが、イアンノーネもすぐに抜き返す。しかし、次の2コーナーでマルケスがインをついて、2番手を奪い返す。この時点で10番手スタートのバレンティーノ・ロッシ(ヤマハYZR-M1)は好ダッシュを決めて4番手につけていた。
ロレンソは2周目の時点で2番手以下に1秒近いリードを取っていたが、マルケスは2番手に浮上すると、その差を周回ごとに縮めていき、5周目にはファステストラップを更新して、ロレンソの背後に迫る。
ここからロレンソとマルケスの二人が、3番手以下とのリードを広げてテールtoノーズのトップ争いを繰り広げ、マルケスはロレンソの後方について様子を見るかのように周回を重ねていく。レース終盤、23周のレースの17周目のストレートエンドでロレンソのスリップストリームから抜け出したマルケスがトップに浮上するが、次の周回の同じポイントで、今度はロレンソがスリップストリームから抜け出してマルケスの前に出る。このとき、突っ込みすぎたロレンソのラインがやや膨らむ間にマルケスがロレンソの前に出たものの、4コーナーの進入ではロレンソがトップを奪還する。
そこから21周目までロレンソがトップをキープするが、残り2周のストレートエンドでマルケスが再びトップに。その周のコース後半でロレンソが逆転に成功。しかし、最終ラップに入ったホームストレートでマルケスがスリップから抜け出してトップに立つ。ロレンソは最後まで勝負のチャンスをうかがったが、逃げ切ったマルケスが優勝して開幕6連勝(全レース、ポールtoウイン)を達成。最高峰クラスの6連勝は2002年のロッシ以来の記録となる。
2位にロレンソ、3位にロッシが入賞。ロッシはグランプリ300戦目となる記念すべきホームレースで表彰台に立ち、2009年以来となるムジェロでの表彰台となった。
4位にダニ・ペドロサ(ホンダRC213V)。5位にポル・エスパロガロ(ヤマハYZR-M1)。6位にアンドレア・ドビジオーゾ(ドゥカティGP14)。イアンノーネは7位でゴール。8位にアルバロ・バウティスタ(ホンダRC213V)。9位にアレックス・エスパロガロ(フォワード-ヤマハ)。10位にヨニー・ヘルナンデス(ドゥカティGP14)の順で続いた。
ミケーレ・ピロ(ドゥカティ GP14)が11位、カレル・アブラハム(ホンダRCV1000R)が12位、スコット・レディング(ホンダRCV1000R)が13位。青山 博一(ホンダRCV1000R)は14位に入賞。コーリン・エドワーズ(フォワード-ヤマハ)は15位に続いた。
以下、16位にマイケル・ラバティ(PBM)。17位にブロック・パークス(PBM)。18位にマイク・デ・ミオ(FTR)の順でチェッカーを受けた。エクトル・バルベラ(FTR)は8周目にリタイア。代役参戦のミシェル・ファブリッツオ(ART)は7周を終えてピットに戻ってリタイア。カル・クロッチロウ(ドゥカティGP14)は4周目に5コーナーで転倒。この転倒でクロッチロウのマシンが先行するステファン・ブラドル(ホンダRC213V)に突っ込み、ブラドルも巻き込まれて転倒、両者リタイアとなった。ブラッドリー・スミス(ヤマハYZR-M1)は3周目に転倒リタイアに終わった。
Moto2クラスはエステブ・ラバット(カレックス)が優勝した。Moto2クラスの決勝レースは気温24度、路面温度41度のドライコンディションで争われた。ポールポジションからスタートしたラバットは好スタートを決めたものの、4番グリッドのジョナス・フォルガー(カレックス)が1コーナーでトップに立ち、1周目に2番手以下にコンマ5秒の差をつける。2番手にルイス・サロム(ポンス・カレックス)が続き、序盤はこの二人がレースをリード。後続を引き離してトップ争いを展開する。1周目を4番手で終えていたラバットは2周目の1コーナーで3番手に浮上すると、トップを争う二人を追うがレース序盤はその差がなかなか縮まらなかった。
フォルガーはレース中盤の13周目までトップをキープするが、14周目の1コーナーでサロムがトップを奪い、このころにはラバットもトップを争う二人に追いついていた。トップから後退したフォルガーはラバットにもかわされ3番手を走行。レース終盤のトップ争いはサロムとラバットの二人の戦いとなった。
21周のレースの15周目にサロムをかわしてラバットがトップに浮上。しかし、続く周回のホームストレートではスリップストリームから抜け出したサロムがラバットをかわしてトップを奪う。ラバットはレース終盤の18周目にファステストラップを更新、これでサロムとの差が約コンマ5秒と広がり、そのままラバットがトップをキープして、今シーズン3勝目を記録した。
サロムが2位に入賞し、アルゼンチンGP以来2度目のMoto2表彰台、Moto2ベストリザルトを更新。3位のフォルガーがスペインGP以来2度目のMoto2表彰台を獲得した。
4位にシモーネ・コルシ(フォワード・KLX)が続く。ビデオ判定による決着となった5位争いをドミニケ・エジャーター(スーター)が制し、ミカ・カーリョ(カレックス)が僅差の6位に入賞した。7位にヨハン・ザルコ(ケータハム・スーター)。8位にサム・ロウズ(スピードアップ)。9位にマーベリック・ビニャーレス(カレックス)。10位にフランコ・モルビデリ(カレックス)が入賞。
中上 貴晶(カレックス)は16位、長島 哲太(TSR)は28位でチェッカーを受けた。
Moto3クラスはロマーノ・フェナティ(KTM)が優勝。Moto3クラスの決勝レースは気温22度、路面温度38度のドライコンディションで争われた。スタートから10台以上の集団によるトップグループが形成され、フェナティ、イサック・ビニャーレス(KTM)、アレックス・リンス(ホンダ)、アレックス・マスブー(ホンダ)、ジャック・ミラー(KTM)、アレックス・マルケス(ホンダ)、アレア・バスティアニーニ(KTM)と、何度もトップが入れ替わる激しい展開が最終ラップまで続いた。
終盤になっても、トップから約1秒半の間に13人のライダーが接近戦のトップ争いを展開。最終ラップの12コーナーでトップ集団の中団にいたミラーが前に出ようとしてインに入り、ミゲール・オリビエラ(マヒンドラ)と接触しかけ、マシンを起こしたところで、後続のマルケスとバスティアニーニが接触。ミラー、マルケス、バスティアニーニが転倒してしまう。
トップ争いはリンスがトップで最終コーナーを立ち上がるが、コントロールライン直前、リンスの左横にビニャーレスがスリップストリームから抜け出して並ぶ。フェナティは2台の右側からスリップストリームを使って抜け出すと、コンマ010秒差のトップでチェッカーを受け、今シーズン3勝目を記録。リンスとビニャースは並んでコントロールラインを通過し、ビデオ判定によりビニャーレスが2位、コンマ001秒差でリンスが3位となった。
4位にオリビエラ、5位にニコラス・アジョ(ハスクバーナ)、6位にマスブー、7位にアレッサンドロ・トヌッチ(マヒンドラ)が僅差で続き、上位7台が最後までトップ集団となった。8位にファン・ゲバラ(カレックス‐KTM)。9位にブラッド・ビンダー(マヒンドラ)、10位にカレル・ハニカ(KTM)の順でチェッカーを受けた。
ミラー、マルケス、バスティアニーニは最終ラップのアクシデントでリタイア。ミラーはランキングトップの座をキープしたが、ランキング2位のフェナティとのポイント差は5ポイントに縮まった。