スペインのバルセロナ・カタルニアサーキットでMotoGP第7戦カタルニアGPの決勝が行なわれた。決勝日は前夜に降った雨の影響から朝のウオームアップセッションはウエットパッチが残る中での走行となったが、時間の経過と共にコンディションは回復。各クラス、ドライコンディションで争われた。
MotoGPクラスではマルク・マルケス(ホンダRC213V)が優勝した。スタートで飛び出したのはホルヘ・ロレンソ(ヤマハYZR-M1)。バレンティーノ・ロッシ(ヤマハYZR-M1)が2番手で続き、ポールスタートのダニ・ペドロサ(ホンダRC213V)が3番手、マルケスが4番手で1周目を終える。これにステファン・ブラドル(ホンダRC213V)を加えた5人のライダーが序盤からトップ集団を形成した。
3周目の4コーナーでロッシがロレンソをかわしてトップに立つが、すぐにロレンソも抜き返す。しかし、5コーナーでロッシがトップを再び奪取。続くバックストレートエンドではマルケスが2番手に浮上する。ここからロッシがトップをキープ、2番手以下はマルケス、ペドロサ、ロレンソが何度か順位を入れ替えながら周回を重ねていく。ブラドルは4人からやや離され始め、さらにレース中盤になるとロレンソがトップ争いの集団から遅れ始める。
14周目の1コーナーでマルケスがロッシに勝負をかけるが、オーバーラン。マルケスはペドロサにかわされ3番手に後退するが、すぐに2番手に復帰する。しかし、この時点でトップを行くロッシとの差がやや広がっていた。2番手に戻ったマルケスはすぐにロッシ追撃を開始、その差を瞬く間に縮め、19周目の1コーナーでトップに浮上する。
しかし、このときこの区間でイエローフラッグが振られており、マルケスは手を上げて元のポジションに戻る。ペドロサも手を上げて合図をしたため、雨が落ちてきたのかとも思われたが、そうではなかったようだ。一瞬、トップ集団がペースを落としたことで、ロレンソが再びトップ3人に接近。マルケス、ロッシ、ペドロサ、ロレンソの順で再び接戦が展開されることになる。しかし、ロレンソはすぐに集団から遅れ始め、レース終盤のトップ争いは3人に絞られる。
最終ラップにトップで入ったのはマルケス。ペドロサはコース序盤からマルケスの前に出ようと何度も背後をうかがう。そして、バックストレートエンドの10コーナーの先でマルケスの背後にぴたりとつけたペドロサは、続く右11コーナーでマルケスのインをねらう。しかし、接近しすぎてしまい、マシンを起こしたところでマルケスのリアタイヤとペドロサのフロントタイヤが軽く接触。これでペドロサはラインを大きく外し、その間にロッシがペドロサの前に出る。
マルケスが今シーズン7勝目のチェッカーをくぐり、ロッシが2位、ペドロサは3位でチェッカーを受けた。マルケスは昨日の予選でポールポジションを逃したため、開幕から7戦連続ポールtoウインの記録こそ途絶えたが、決勝レースで優勝し、開幕からの連勝記録を7連勝に更新した。
ロレンソは終盤に遅れ、4位でチェッカー。ブラドルが単独5位でゴールし、オープンクラストップの6位にアレックス・エスパロガロ(フォワード-ヤマハ)が入賞。接戦の7位争いをポル・エスパロガロ(ヤマハYZR-M1)が制し、僅差の8位にアンドレア・ドビジオーゾ(ドゥカティGP14)が続いた。9位にアンドレア・イアンノーネ(ドゥカティGP14)、10位にブラッドリー・スミス(ヤマハYZR-M1)が入賞。
ヨニー・ヘルナンデス(ドゥカティGP14)が11位、スコット・レディング(ホンダRCV1000R)が12位、ニッキー・ヘイデン(ホンダRCV1000R)が13位、ミケーレ・ピロ(ドゥカティ GP14)が14位。青山 博一(ホンダRCV1000R)は15位入賞を果たした。
以下、16位にブロック・パークス(PBM)。17位にマイケル・ラバティ(PBM)。18位にコーリン・エドワーズ(フォワード-ヤマハ)。19位にエクトル・バルベラ(FTR)。20位にミシェル・ファブリッツオ(ART)の順でチェッカーを受けた。マイク・デ・ミオ(FTR)は17周でリタイア、カル・クロッチロウ(ドゥカティGP14)は10周を終えてピットに戻りリタイア。アルバロ・バウティスタ(ホンダRC213V)は4周目にリタイア、カレル・アブラハム(ホンダRCV1000R)は2周目に転倒リタイアとなった。
Moto2クラスはエステブ・ラバット(カレックス)が優勝。スタートで先行したのはミカ・カーリョ(カレックス)だったが、ラバットはすぐにトップを奪取し、マーベリック・ビニャーレス(カレックス)が2番手で1周目を終える。序盤はラバットとビニャーレスがトップを入れ替えながら周回を重ね、5周目の1コーナーで先頭に立ったラバットと2位のビニャーレスが後続とのリードを広げていく。
レース中盤あたりからラバットとビニャーレスの差が1秒前後に開き、終盤に入るとその差はさらに広がり、ラバットが独走で今シーズン4勝目を記録。終盤は単独2位となったビニャーレスが2位に入賞し、今季2度目の表彰台を獲得した。
3番手争いは、序盤はミカ・カーリョ(カレックス)がリードしたものの、トーマス・ルティ(スーター)、ドミニケ・エジャーター(スーター)が追いつき、レース中盤の10周目の1コーナーでルティが3番手に浮上。カーリョはエジャーターにもかわされ5番手へと後退する。カーリョはジョルディ・トーレス(スーター)にもかわされて6番手に後退。
トーレスは3番手争いのルティとエジャーターに追いつくが、17周目のバックストレートエンドの進入で転倒。跳ね返ったマシンがアウト側にいたエジャーターのマシンのフロントスクリーン付近に接触、エジャーターは転倒こそ免れたものの、大きく遅れてしまった。
これでルティの単独3番手は安泰かと思われた。ところがレース終盤、カーリョとヨハン・ザルコ(ケータハム・スーター)が競り合いながらルティの背後まで迫り、バックストレートに出たときにはカーリョが3番手に上がる。しかし、バックストレートエンドのブレーキングでカーリョのインをついたルティがラインを外し、その間にザルコがカーリョのインをついて3番手に浮上。そのままチェッカーを受け、ザルコが今シーズン初表彰台を獲得。カーリョが4位、ルティが5位で続いた。
6位にマティア・パッシーニ(フォワード・KLX)。7位にリカルド・カルダス(テック3)。8位にアクセル・ポンス(カレックス)。9位にマーセル・シュローター(テック3)。10位にアンソニー・ウエスト(スピードアップ)の順で続き、中上 貴晶(カレックス)は13位入賞。エジャーターが14位で続き、長島 哲太(TSR)はレース終盤に転倒を喫したものの、再スタートし23位でチェッカーを受けた。
Moto3クラスはアレックス・マルケス(ホンダ)が優勝した。ポールポジションからスタートしたマルケスはスタートからトップに立つと、2周目には後続に約1秒のリードを取り、独走態勢に持ち込む。2番手集団が接戦の争いとなったことから、その後も周回を重ねるごとに2番手以下とのリードを広げたマルケス。レース中盤にはそのリードを3秒前後に広げて独走。昨年の日本GP以来となるグランプリ通算2勝目と共に今シーズン初優勝を達成し、同時に今シーズンから投入されたホンダのワークスMoto3マシン、NSF250RWの初優勝を達成した。
2番手争いは中盤過ぎまで9人のライダーがポジションを入れ替えながら接戦を繰り広げ、アレナ・バスティアニーニ(KTM)、エフレン・バスケス(ホンダ)、ロマーノ・フェナティ(KTM)、ニコラス・アジョ(ハスクバーナ)らが集団の先頭を入れ替えながら周回を重ねたが、バスティアニーニが最後は先頭に立ち、グランプリ初表彰台を獲得。3位にバスケスが続いた。
4位にジャック・ミラー(KTM)が入賞。ミラーは2番手争いの集団後方で周回を重ねていたものの、最終ラップにポジションを上げて4位でゴールし、ランキングトップを守った。フェナティは最終ラップにラインを外す間にミラーの接近を許し、かわされて5位でゴール。ミラーと7ポイント差のランキング2位をキープ。
6位にブラッド・ビンダー(マヒンドラ)。7位にイサック・ビニャーレス(KTM)、8位にアジョが続いた。アジョは最終ラップのセクター2まで2番手争いの先頭に立っていたものの、バックストレート手前の9コーナーでグリーンに飛び出し、立て直して8位でゴール。9位にジョン・マクフィー(ホンダ)、10位にフランシスコ・バグナイア(KTM)の順でゴールした。