好スタートを決めてホールショットを奪ったのはチャロンポン・ポラマイ(Yamaha Thailand Racing Team)。ポイントリーダーとして初の全日本タイトル獲得に挑む前田恵助(伊藤レーシングGMDスズカ)は2番手につけたものの、オープニングラップのデグナー2個目でまさかの転倒。
替わって2番手に浮上したデチャ・クライサルト(Yamaha Thailand Racing Team)がポラマイを捕えてトップ浮上。ポラマイを従えてヤマハ・タイがワンツー走行。この2台に榎戸育寛(MOTO BUM HONDA)、岩戸亮介(Team 高武 RSC)、名越哲平(MuSASHi RT ハルク・プロ)、奥野翼(AKENO SPEED・YAMAHA)を加えた6台がトップ集団を形成。
5周目。トップグループから遅れ出していた奥野が転倒。
6周目。榎戸が2番手浮上。7周目にその榎戸を捕えて名越が2番手浮上。逆にポラマイは4番手にポジションダウン。
8周目に名越がトップを行くクライサルトの背後につけた。しかしなかなか前に出ることはできない。
最終ラップ直前に榎戸が名越を捕えて2番手浮上。最終ラップ。バックストレッチで榎戸がクライサルトを捕えてトップ浮上。榎戸はそのまままさかの全日本初優勝を飾ると同時に、大逆転チャンピオン獲得となった。
●優勝・榎戸 育寛(MOTO BUM HONDA)
「レースウイークをとおして苦戦していて、元々鈴鹿は得意で自信を持っていた分、その苦戦が気になって攻められずに予選を迎えました。気合を入れて臨んだ予選は空回りしてベストタイムを更新できず、レコードにも届かずに悔しい思いでした。レースでは前田選手が転倒したのを見て、少しペースを抑えてついていきました。タイトルのことは全く考えていませんでした。優勝できてうれしさ120%でしたが、チャンピオンだと分かってうれしさ280%になりました。シーズン序盤は苦戦していたけれど、最後にこんな形で終わることができるとは思ってもいませんでした。夢の中にいるみたいで、今もふわふわした気持ちです」
●2位・デチャ・クライサルト(Yamaha Thailand Racing Team)
「まず、チャンピオンを取ったウイナーにおめでとうを言いたいです。チームのターゲットだったポラマイのタイトル獲得は達成することができなかったので悲しいです。ポラマイのタイトル争いは意識していましたが、チームとしての作戦は特別ありませんでした。何度か後ろを見たら彼がいなくて、なぜだろうって思っていました。ラストラップに榎戸選手に抜かれたときは、彼は将来、有望なライダーになるなと感じました」
●3位・名越 哲平(MuSASHi RT ハルク・プロ)
「ウイークとおしてトップとは差があり、予選でも2秒の差がありましたが、チームが車体をまとめてくれました。序盤に離されたらトップには付いていけないし、速いライダーのライディングを見たかったので、序盤はタイヤを使いながらも必死に付いていきました。前だけを見て、勝つことしか考えずに走りました。シケインで榎戸選手に抜かれ、悔しさもありましたが、彼のペースは明らかに自分より速かったので、付いて行ければチャンスがあるなと思っていました。開幕戦の優勝は運を味方にした部分がありますが、今回は難しい鈴鹿で実力で表彰台に乗ることができ、次につながるレースができたと思います」