MotoGP第18戦バレンシアGPは、スペインのバレンシア、リカルド・トルモサーキットで決勝レースを行なった。決勝日は前夜に雨が降り、気温も低めのコンディションの下で行なわれた。Moto3、Moto2クラスの決勝はドライコンディションで争われたが、MotoGPクラスの決勝スタート時にコースの部分的に雨が落ち始める難しいコンディションとなった。
MotoGPクラスでは、マルク・マルケス(ホンダRC213V)が優勝。MotoGPクラスの決勝レースは気温18度、路面温度22度のドライコンディションでスタート。しかし、スタート直前にコースの一部で雨が落ち始め、1周目を終えたところでホワイトフラッグが掲示された。
好スタートを切ったのはポールポジションからスタートしたバレンティーノ・ロッシ(ヤマハYZR-M1)。アンドレア・イアンノーネ(ドゥカティGP14)が2番手で続き、イアンノーネは1コーナーでロッシをパスしてトップに立つと、その差を広げ、4周目にはロッシに約1秒4のリードを取ってトップを独走する。単独2番手にロッシ。マルケス、カル・クロッチロウ(ドゥカティGP14)、ダニ・ペドロサ(ホンダRC213V)、アンドレア・ドビジオーゾ(ドゥカティGP14)、ホルヘ・ロレンソ(ヤマハYZR-M1)が3番手争いを展開する。
5周目にはマルケスが単独3番手に浮上、ペドロサも4位に浮上する。マルケスはロッシに迫り、8周目にはテールtoノーズのバトルに。ロッシもトップを行くイアンノーネとの差を縮める。10周目の8コーナーでロッシをかわして2番手に浮上したマルケスはそのままイアンノーネに迫り、11周目の8コーナーでトップに浮上。
ロッシも12周目の6コーナーでイアンノーネをかわすが、イアンノーネも続く7コーナーで2番手を奪い返す。しかし、11コーナーで再びロッシがポジションを奪還。さらにこの争いにペドロサも追いつき、12周目の最終コーナーでイアンノーネをかわして3番手に浮上する。2番手争いのバトルの間に、トップを行くマルケスはリードを広げていく。
レース中盤の17周目付近で雨足がやや強まり、ペースが落ちる。19周目を終え、4番手に浮上していたロレンソと7番手に後退していたイアンノーネがピットに入り、レインタイヤを履いたマシンに乗り換える。しかし、雨がそれ以上強くなることはなく、ロレンソとイアンノーネは大きく後退してしまう。
路面状況に合わせてペースを調整しながら周回を重ねるトップのマルケス。背後を脅かされることなく終盤にはその差を5秒以上に広げ、独走でチェッカーを受けて今シーズン13勝目を記録。最高峰クラスのシーズン最多勝新記録を樹立した。マルケスの2連覇に加えて、レプソル・ホンダチームがチームランキングトップ、ホンダがコンストラクターランキングトップを獲得し、ホンダが3冠を獲得した。
2位にロッシが続き、ロッシがランキング2位を獲得。ペドロサは雨が強まったところでロッシとの差が広がったものの、後続の追撃を受けることなく単独3位でゴール、ランキング4位となった。
4位争いは終盤までドビジオーゾとクロッチロウのチームメイト同士が接戦を展開。ドビジオーゾが4位、僅差の5位にクロッチロウが入賞した。6位争いはエスパロガロ兄弟が僅差で競り合い、ポル・エスパロガロ(ヤマハYZR-M1)が6位、アレックス・エスパロガロ(フォワード-ヤマハ)が7位でチェッカー。アレックス・エスパロガロがオープンクラストップとなり、オープンクラスランキングもトップでシーズンを終えた。
8位にステファン・ブラドル(ホンダRC213V)。9位にミケーレ・ピロ(ドゥカティGP14)。10位にスコット・レディング(ホンダRCV1000R)が続き、エクトル・バルベラ(ドゥカティGP14)が11位。ダニロ・ペトルッチ(ART)が12位。ニッキー・ヘイデン(ホンダRCV1000R)が13位に入賞。ブラッドリー・スミス(ヤマハYZR-M1)8番手走行中の18周目に転倒を喫したが、再スタートして14位でチェッカーを受けた。来季よりHRCのテストライダーとなることが決まっている青山 博一(ホンダRCV1000R)は、レギュラーライダーとして最後のレースを15位入賞でフィニッシュ。今シーズンの全戦を完走し、ランキング14位となった。
以下、16位にアルバロ・バウティスタ(ホンダRC213V)。17位にカレル・アブラハム(ホンダRCV1000R)。18位にアレックス・デ・アンジェリス(フォワード-ヤマハ)。19位にマイケル・ラバティ(PBM)。20位にブロック・パークス(PBM)。21位にマイク・デ・ミオ(FTR)が続き、ピットインしたイアンノーネは1周遅れの22位でゴール。ホルヘ・ロレンソ(ヤマハYZR-M1)は24周を回ってピットに戻りリタイア。ロレンソはランキング3位でシーズンを終えた。ランディ・ド・ピュニエ(スズキGSX-RR)は12周目を回ってピットに戻りリタイア。ヨニー・ヘルナンデス(ドゥカティGP14)は9周を回ってピットに戻りリタイアとなった。
Moto2クラスでは、トーマス・ルティ(スーター)が優勝。Moto2クラスの決勝レースは気温18度、路面温度22度のドライコンディションで争われた。好スタートを決めたのはエステブ・ラバット(カレックス)。ルティが2番手で続く。1周目の最終コーナーで、トップ集団につけていたマーベリック・ビニャーレス(カレックス)がミカ・カーリョ(カレックス)に追突。両者転倒し、カーリョはその場でリタイア。ビニャーレスはピットに戻ったものの、リタイアに終わってしまう。
ラバットとルティが3番手以下を引き離してトップ争いを展開。単独3番手にヨハン・ザルコ(ケータハム・スーター)が続く。ラバットとルティはレース中盤には3番手以下とのリードを約2秒に広げ、マッチレースを展開。中盤過ぎからルティがラバットに何度か仕掛けるものの、前に出ることができない。ラバットは27周のレースの最終ラップの最終コーナーまでトップをキープしていたが、最終コーナーの立ち上がりでルティが前に出て優勝。ルティは今シーズン初優勝を飾った。コンマ133秒の僅差の2位にラバットが続き、単独3位にザルコ。最終ラップに4番手に浮上したルイス・サロム(ポンス・カレックス)が4位に入賞し、僅差の5位にハビエル・シメオン(スーター)が続いた。
終盤まで4番手を走っていたドミニク・アガター(スーター)は、残り4周でシメオンとサロムに交わされ6位でゴール。7位にサム・ロウズ(スピードアップ)8位にマーセル・シュローター(テック3)、9位にアンソニー・ウエスト(スピードアップ)、10位にロレンソ・バルダッサーリ(スーター)の順で続いた。中上 貴晶(カレックス)は14位入賞、長島 哲太(TSR)は26位でチェッカーを受けた。
Moto3クラスはジャック・ミラー(KTM)が優勝。Moto3クラスの決勝レースは気温16度、路面温度18度のドライコンディションで争われた。ミラーは好スタートでトップに立ってレースをリード。イサック・ビニャーレス(KTM)、ニッコロ・アントネッリ(KTM)、アレックス・マルケス(ホンダ)が続く。4周目の1コーナーでビニャーレスがトップに立つが、ミラーもすぐにその座を奪還。
その後、レースは8人のライダーがトップ集団を形成。24周のレースの15周目までミラーがトップでコントロールライン上を通過したものの、各コーナーでポジションが入れ替わる接戦だった。
残り5周となった19周目にミラーとマルケスが激しいポジション争いを展開する間に、トップに立ったビニャーレスが逃げにかかる。20周目にその差は約1秒5に広がるが、ミラーは2番手に上がるとビニャーレスとの差を一気に縮め、23周目にビニャーレスをかわしてそのままトップでチェッカー。ビニャーレスが2位で続いた。マルケスは、20周目には一時7番手に後退するが、すぐに3番手まで復帰してチェッカーを受けた。
この結果、マルケスがミラーに2ポイント差でタイトルを獲得。兄のマルクと共に、グランプリ史上初となる兄弟ライダーによるチャンピオン獲得となった。
4位にダニー・ケント(ハスクバーナ)。5位にアレックス・リンス(ホンダ)。6位にエフレン・バスケス(ホンダ)が続き、ポールスタートのアントネッリは7位でゴール。8位にミゲール・オリビエラ(マヒンドラ)。9位にブラッド・ビンダー(マヒンドラ)。10位にカレル・ハニカ(KTM)の順で続いた。
2014年シーズンのMotoGPシリーズの日程はこれですべて終了。MotoGPクラスではマルク・マルケス、Moto2クラスではエステブ・ラバット、Moto3クラスではアレックス・マルケスがチャンピオンを獲得。スペイン人ライダーが今年もタイトルを独占した。
翌日からは、MotoGPクラスのオフィシャルテストがバレンシアでスタートする。