MotoGP第10戦インディアナポリスGPは、アメリカのインディアナポリス・モーター・スピードウェイで決勝レースを行なった。決勝日はやや雲が多かったものの、雨が落ちることはなく、全クラス、ドライコンディションで争われた。
MotoGPクラスでは、マルク・マルケス(ホンダRC213V)が優勝した。MotoGPクラスの決勝レースは気温30度、路面温度46度のドライコンディションで争われた。好スタートを切ったのはアンドレア・ドビジオーゾ(ドゥカティGP14)。マルケスは遅れてしまい、3コーナーでバレンティーノ・ロッシ(ヤマハYZR-M1)がトップに立つ。序盤はロッシとドビジオーゾがトップを争い、やや離れてマルケス、ホルヘ・ロレンソ(ヤマハYZR-M1)が続く。ロッシは5周目にドビジオーゾの先行を許すが、6周目の3コーナーでトップを奪還する。しかし、続く4コーナーでロッシとドビジオーゾが交錯。この間にマルケスがトップに浮上するが、ロッシはコース後半で再びマルケスからトップを奪うと、10周目までトップをキープした。
11周目の1コーナーでマルケスがロッシをかわしてトップに浮上。ロレンソも2番手で続く。ロレンソとロッシが接戦の2番手争いを展開する中、トップに立ったマルケスは少しずつリードを広げていく。レース中盤を過ぎた15周目にはその差は約1秒4に広がり、マルケスはトップ独走態勢を築く。ロッシとの2番手争いを振り切ったロレンソは、19周目には単独2番手でマルケスを追うが、その差は少しずつ広がっていく。
マルケスは終盤には2秒以上のリードを取り、最終ラップに突入。最後のバックストレートに出るところでは後ろを振り返ってロレンソとの差を確認し、トップでチェッカーを受けて開幕10連勝を達成した。この記録はミック・ドゥーハンが1997年に記録した10連勝と、ケーシー・ストーナーが2011年に達成したシーズン10勝に並ぶもの。1964年にマイク・ヘイルウッドが樹立した史上最年少の10連勝記録を更新した。また、この勝利でスペイン人ライダーのグランプリ通算優勝記録が500勝に達した。
単独2位にロレンソが続き、ロッシが3位に入賞。8番グリッドから追い上げたダニ・ペドロサ(ホンダRC213V)は表彰台争いには加われなかったものの4位でチェッカーを受けた。
終盤、ドビジオーゾをかわしてポジションを上げたポル・エスパロガロ(ヤマハYZR-M1)が5位、ブラッドリー・スミス(ヤマハYZR-M1)が6位に入賞。ドビジオーゾはトップ争いから後退した後ポジションを落とし、7位でチェッカーとなった。
カル・クロッチロウ(ドゥカティGP14)とスコット・レディング(ホンダRCV1000R)の二人は激しい8位争いを続け、終盤にレディングが前に出たものの抜き返したクロッチロウが8位でゴール。僅差の9位にレディングが続き、オープンクラストップとなった。青山 博一(ホンダRCV1000R)は10位でゴール。
カレル・アブラハム(ホンダRCV1000R)が11位。マイク・デ・ミオ(FTR)が12位。コーリン・エドワーズ(フォワード-ヤマハ)が13位。マイケル・ラバティ(PBM)が14位。ブロック・パークス(PBM)が15位に入賞した。
レオン・キャミア(ホンダRCV1000R)は2度ピットに戻り、最終的に19周を回ってリタイア。アンドレア・イアンノーネ(ドゥカティGP14)は、序盤はセカンドグループで健闘していたが、15周目にマシントラブルでリタイアに終わった。ステファン・ブラドル(ホンダRC213V)とアレックス・エスパロガロ(フォワード-ヤマハ)は13周目の1コーナーで接触、ブラドルは転倒リタイア。アレックス・エスパロガロは転倒こそしなかったものの、シートカウルを破損し、マシンを止めてリタイアとなった。
ダニロ・ペトルッチ(ART)とエクトル・バルベラ(FTR)はトラブルでリタイア。ヨニー・ヘルナンデス(ドゥカティGP14)とアルバロ・バウティスタ(ホンダRC213V)はスタート直後の3コーナーで接触転倒し、共にリタイアに終わった。
Moto2クラスはミカ・カーリョ(カレックス)が優勝。Moto2クラスの決勝レースは、スタート4周目に多重クラッシュが発生し赤旗中断。当初の予定の25周から16周に減算されて、最初のスターティンググリッド順で再スタートが切られた。
最初のスタートでもトップを独走していたカーリョは、2回目のスタートでもトップに立ち、1周目で2番手以下に1秒2の差をつけてトップで戻ってくると、その差をキープ。一度もトップの座を譲ることなく独走で周回を重ね、今シーズン3勝目をマークした。
2番手争いはエステブ・ラバット(カレックス)、マーベリック・ビニャーレス(カレックス)、ドミニク・アガター(スーター)のバトルとなり、ラバットが終盤まで2番手をキープしていたが、13周目の1コーナーでビニャーレスが2番手に浮上。このときラバットはラインを外し、アガターにもかわされて4番手に後退する。終盤はビニャーレスとアガターの2番手争いとなり、やや離されてしまったラバットは二人に追いつくことができなかった。ビニャーレスが2位を守りきり、アガターが3位に入賞。ラバットは4位となり、ランキングトップの座は守ったものの、優勝したランキング2位のカーリョとのポイント差は7ポイントに縮まった。
5位にシモーネ・コルシ(フォワード・KLX)、6位にサンドロ・コルテセ(カレックス)が入賞。スペイン選手権出身のマレーシア人ライダー、ハーフィス・シャハリン(カレックス)が7位に入賞した。8位にアレックス・デ・アンジェリス(スーター)。9位にアンソニー・ウエスト(スピードアップ)。10位にヨハン・ザルコ(ケータハム・スーター)。中上 貴晶(カレックス)は7位争いの集団の中で周回を重ね、11位で入賞を果たした。長島 哲太(TSR)は23位でチェッカーを受けた。
Moto3クラスはエフレン・バスケス(ホンダ)が優勝。Moto3クラスの決勝レースは気温26度、路面温度33度のドライコンディションで争われた。ポールポジションのジャック・ミラー(KTM)が好スタートでレースをリードし、3周目までトップをキープするが、4周目にロマーノ・フェナティ(KTM)がトップに浮上する。序盤からミラー、フェナティ、バスケス、アレックス・マルケス(ホンダ)、アレックス・リンス(ホンダ)、ブラッド・ビンダー(マヒンドラ)の7人のライダーがトップ集団を形成。後続を引き離して、ポジションを入れ替えながら接戦を繰り広げる。
8周目にミラーがトップを奪還するが、その直後にマルケスがトップに浮上。さらにリンス、バスケスとトップが目まぐるしく変わりながら周回を重ねてレース中盤を迎える。トップ争いが接戦となったことで、後方からアレックス・マスブー(ホンダ)が追いつき、さらにミゲール・オリビエラ(マヒンドラ)、ヤコブ・コンフェイル(KTM)が加わり、終盤のトップ集団は10台に膨れ上がった。
終盤、フェナティ、マルケスがレースをリードするが、逃げ切ることはできない。バスケスも20周目にトップに立ったものの、最終ラップにトップで進入したのはフェナティ。バスケスがこれに続き、接戦の中で3位のミラー以下との差が少し開いてしまう。最終コーナーを真っ先に立ち上がってきたのはフェナティだったが、バスケスがスリップストリームから抜け出して僅差のトップでチェッカーを受けた。2007年に250クラスでグランプリデビューを果たしたバスケスはグランプリ116戦目で初優勝を達成した。
2位フェナティ、3位にミラーが続き、4位にマスブー、5位にリンスが入賞。マルケスは6位でゴールとなった。トップから6位までのタイム差は約1秒。7位にオリビエラ、8位にファン・ゲバラ(カレックス‐KTM)、9位にビンダー、10位にコンフェイルの順で続いた。今レースからレギュラーライダーとなり、予選6番手からスタートしたホルヘ・ナバーロ(KTM)は序盤からセカンド集団でバトルを繰り広げ、最終的に14位に入賞した。