二日間降り続いた雨が上がり、青空の下で迎えたオーストラリアGP決勝は、マーベリック・ビニャーレスが激走を見せ、日本GPに続く3位表彰台を獲得。レース終盤はチームメイトのアレイシ・エスパロガロとスリリングな3番手争いを繰り広げたものの、エスパロガロは残り5周で痛恨のスリップダウンを喫し、悔しいリタイヤとなった。
この週末初めてドライの路面で走ることになった決勝日ウオームアップは、通常より10分間延長され、スズキエクスターライダーの二人は、どちらもポジティブなフィーリングで好タイムをマーク。決勝スタート後は、エスパロガロが4番手から3番手に順位を上げ、そのまま快走を続け、ポジションを維持。ビニャーレスは後列13番手からのスタートだったため、他車のオーバーテイクに時間を要したものの、残り9周で3番手争いのチームメイトのエスロルガロ、ドゥカティのアンドレア・ドビジオーゾに追いつき、しばらく3人の激しい3番手争いが続く。エスパロガロの転倒により4番手にポジションアップしたビニャーレスは、その後ドビジオーゾをオーバーテイクし、さらに差を広げ、この争いを制した。ビニャーレスは、先週末の日本GPもてぎに続く2戦連続の3位表彰台獲得となった。
■マーベリック・ビニャーレス(決勝3位)
「今日の表彰台は本当にうれしかった。この週末は天候が安定しなくてハードな週末だったけど、今朝起きて、外が晴れているのを確認した時、気持ちがすっかり切り替わったよ。ドライコンディションでセットアップする時間はわずかしかなかったけど、その短時間でいいセッティングが決まり、タイヤの選択もうまくいった。タイヤのフィーリングをテストする機会がなかったから、スタート直後は特にフロントタイヤのパフォーマンスを確かめるために、ペースを上げすぎず、慎重に行ったんだけど、2、3周走ってみて、大丈夫だと確信できたから、その後は自信を持って攻めることができたよ。アレイシの転倒は本当に残念だった。僕らは今日二人ともいいペースで走れていたから、共にチャンスがあったはずなんだ。もう少し3位グループに追いつくのが早かったら、今日は2位もねらえたと思うよ。タフな週末だったけど、チームが本当にすばらしい仕事をしてくれ、感謝の気持ちでいっぱいさ」
■アレイシ・エスパロガロ(決勝リタイヤ)
「本当に残念で、チームのみんなに申し訳ない気持ちでいっぱいだよ。もてぎ同様、今日は二人共表彰台のチャンスが十分あったからね。ペース的には2位争いも可能だったと思うんだけど、ストレートで毎周オーバーテイクされるので、うまく自分のリズムで走れず、チャンスを逃してしまった。ドライコンディションで走行できたのは、今朝の短い時間だけだったので、ウオームアップで試してなかったハードのフロントタイヤを決勝で使うというギャンブルに出たんだ。でもそれが吉となった。もちろんチームが決勝に向けて、マシンのアジャストをしてくれたことが、一番の助けになったけどね。次戦マレーシアは僕の好きなサーキットなので、チームのためにも、僕自身のためにも、必ずリベンジするよ。ここ数戦、僕らのパフォーマンスは安定してよくなっているので、必ずできるはずさ。」
■河内 健/テクニカルマネージャー
「非常にタフな週末でした。まともなコンディションで走行できたのが日曜日朝の30分だけという状況で、マーベリックはそのコンディションのせいで13番グリッドという、かなり後方からの追い上げを強いられたのですが、そこから表彰台獲得という、すばらしい仕事を成し遂げてくれました。アレイシも今週末は非常にコンペティティブで、決勝でもアグレッシブに表彰台争いをしてくれたので、転倒という結果に終わってしまい、本当に残念です。しかし今週末は二人のライダーが共にコンペティティブなレースを見せてくれ、どちらもすばらしい仕事をしてくれたので、二人に感謝の気持ちを伝えたいと思います。この勢いで3連戦の最後となるセパンを乗り切り、最終戦に向かいたいと思います。」