モンスター・ヤマハ・テック3のポル・エスパロガロが、ミシュラン・オーストラリア・モーターサイクル・グランプリで5位獲得の大健闘。エスパロガロはフロントロウから好スタートを切ってトップに浮上。まもなく2番手に後退したが、トップのママルク・マルケスに食らいついて5ラップ目までこのポジションをキープした。その後2台に抜かれ、12ラップ目には6番手に後退したが、懸命にハイペースをキープして後続のホルヘ・ロレンソを引き離していった。レース後半はコンスタントに走りきり、アレイシ・エスパロガロの転倒離脱もあって5位でゴール。難しいレースを好成績で締めくくり、早くも来週のマレーシアGPに照準を合わせている。
一方、モンスター・ヤマハ・テック3から通算100回目のグランプリに出場したブラドリー・スミス。ひざのけがが完治しておらず完ぺきな状態ではなかったが、果敢に走り切って8位でチェッカーを受けた。グリッド14番手からスタートして序盤は様子を見ながら慎重な走り。一度リズムをつかむと着実にペースを上げ、レースの3分の1ほどまでに4台をパスして14番手へ復帰した。その後も少しもひるむことなくプッシュを続け、ついには7台の大集団による7位争いに加わって大奮闘。最終ラップには一気に二つ順位を上げ、8位を獲得した。
■ポル・エスパロガロ(決勝5位)
「持っているすべてのカードを切った。そして気持ちよくフィリップアイランドを発つことができる。スタートがとてもうまくいってトップに立ち、ミスも1度もなかった。さらにはスムースなブレーキングを心がけ、不要なリスクを遠ざけた。しかしそれでも、ファクトリー・マシンが僕を抜いていったときのことを思い出すと、ちょっと悔しい気持ちになるんだ。僕は彼らと勝負したかったけれど、残念ながらそうはならなかった。もちろん僕らはベストを尽くしたし、チームのみんなは、僕らが最初に一緒に仕事をしたときとまったく同じやり方を続けている。残りわずかになってしまったけれど、僕は彼らの仕事ぶりが大好きだ。今回は天候に恵まれず、ドライ・コンディションでの走行が少ししかできなかったが、むしろそれが僕らにとっては幸運だったのだと思う。だからこそ何台かのファクトリー・マシンを抑えることができたのだろうが、そうだとしても、今日の結果には満足したい。そして次のマレーシアでも好成績を目指していくよ」
■ブラドリー・スミス(決勝8位)
「すばらしい成績を獲得することができた。とくに最後の数ラップは本当に苦しかったけれど、幸運にも絶好のチャンスを見つけて前へ出ることができたんだ。スタートはあまりアグレッシブに行くことができず自分自身にがっかり。もちろんけがの影響があって、どうするべきかを考え過ぎたし、タイヤを暖めることに慎重になり過ぎていた。でもいったん、リズムをつかんでからは、決して楽ではなかったけれども、どんどん前に近づいていくことができたんだ。彼らの後ろに迫ってからも冷静さを失わず、タイヤの温存を意識し続けた。だって最後の3ラップのために不可欠なものだからね。そして終盤になって何台かパスし、最終ラップではいよいよフルアタック。グリップが残っていたからこそペトルッチとミラーをパスすることができた。テック3チームの仕事ぶりに感謝。とくに昨日の転倒のあとは大変だったし、全体を通してもドライ・コンディションが少なくて苦労したけれど、僕のために素晴らしいマシンを仕上げてくれた。ここまではすべてが計画通りに進んでいる。日本、オーストラリアと順調によくなってきているので、次のマレーシアにも期待したい」
■エルベ・ポンシャラル/チームマネージャー
「厳しい戦いになることは始めから分かっていたし、実際にそのとおりになった。ポルの好スタートはいつものことだが、今日はそれがより一層鮮明で、彼がレースをリードする姿を見てとても感動した。残念ながらマルクに抜かれてしまって1ラップを持ちこたえることができなかったけれど、ポルはその後もペースを緩めず懸命について行った。もちろん、マルクのペースに敵わないことは明らかだったし、やがて後続が追いついてきて激しいバトルに飲み込まれた。そのなかでいくつかポジションを下げることとなったが、ライバルたちはリズムがよく、おそらく装備も上だったと思う。このように難しい展開の中でもラップタイムは安定しており、いい戦い方ができたことを誇りに思っている。
一方のブラドリーも本当にすばらしかった。わずか10日前までは、彼がチームに合流できるかどうかさえ分からなかったのだ。レース序盤は、マシンの状態と自分のコンディションを確認するために慎重にスタート。そのあとミッションに取り掛かり、すでに5秒近くも前へ行っていた集団との差を詰め始めた。1周につきコンマ5秒も縮めていく走りはまさに圧巻。最終ラップを10番手で迎え、最終的に8位でチェッカーを受けることになった。我々の期待をはるかに超える好成績。彼のハードワークと、懸命さと、ネバー・ギブアップの精神に祝福を贈る。悪天候と難しい路面コンディションに翻弄された今大会で、5位と8位という好成績を獲得できたことは本当にすばらしいと思う。次のマレーシアでもこの再現を目指したい」