モビスター・ヤマハMotoGPのバレンティーノ・ロッシとホルヘ・ロレンソが、フィリップアイランド・サーキットで激しいチャージ。ロッシは予選15番手から前方集団を次々に抜き去り2位表彰台を獲得する異次元の走り。ロレンソはグリッド12番手から6位まで挽回した。
グリッド5列目から好スタートを切ったロッシは、オープニングラップで13番手。続いてスコット・レディング(ドゥカティ)とマーベリック・ビニャーレス(スズキ)をパスし、さらにポジションアップをねらってニッキー・ヘイデン(ホンダ)を追って行った。3ラップ目、ロレンソをとらえて7番手に上がると、次はロレンソとふたり揃ってダニロ・ペトルッチ(ドゥカティ)の前へ。
ロッシは少しずつ前との差を詰め始め、アンドレア・ドビジオーゾ(ドゥカティ)とポル・エスパロガロにコンマ4秒差まで接近。ここで1分29秒795の暫定ファステストラップを記録し、1ラップ後には二人を交わして4番手に。その後も手を緩めることなくプッシュを続け、ついにはアレイシ・エスパルガロ(スズキ)までの0.4秒を縮めて3番手へ浮上した。それから間もなくトップを走行していたマルク・マルケス(ホンダ)が転倒したため、ロッシは自動的に2番手へ。
ここからはロッシとカル・クロッチロウ(ホンダ)の優勝争い。しかしこのときすでに、2秒以上の差が開いていた。ロッシはレース序盤でフロントのソフト・コンパウンドの優位性を使い果たしており、ブレーキングのミスも出たことから、プッシュしたい気持ちを抑えて2位獲得に集中。最終的にはトップから4.218秒差でチェッカーを受けた。
一方のロレンソは、グリッド12番手から好スタートを切り序盤で9番手までばん回。ロッシとビニャーレスの追い上げを予期し、早めにステファン・ブラドル(アプリリア)とジャック・ミラー(ホンダ)をパスして7番手に浮上した。しかし、その1ラップ後にはロッシとビニャーレスに先行を許し、その後は二人のペースについて行くことができなかった。
前方でマルケスが転倒したあと、レース後半は6番手を単独走行。タイヤの熱をコントロールしながら、着実にチェッカーを目指した。
2位を獲得したロッシは、シリーズポイントを合計216に伸ばしてランキング2位をキープ。ロレンソはロッシに24ポイント差の合計192ポイントで3位につけている。
■バレンティーノ・ロッシ(決勝2位)
「今朝からペースがよくて、天気もよくて、少しずつ調子が戻って来たんだ。レース序盤、特に1ラップ目はすごくおもしろくて、カル(クラッチロー)について行こうとしたけど速すぎてついて行けなった。そのあと10ラップくらいはバトルをエンジョイ。そのときもまたカルがターゲットなんだけれど、僕は朝の好調ぶりからして、きっと抜けると思っていたんだ。そのうちにマルケスが転倒したので、これは勝てるかもしれないと思ってトライ。でも残念ながらカルが速すぎて追いつくことはできなかった。彼はフィリップアイランドでいつも速いんだ。このコースをとてもよく理解しているんだね。僕の方は後半がとても苦しくて、どうすることもできなかったよ。もてぎではミスをしてしまったし、昨日も最悪だった。それを埋め合わせるために今日の2位がどうしても必要だったと思っている。チームにとってもヤマハにとってもいい結果になってよかった。カルには"おめでとう"を! そしてすばらしい仕事をしてくれたチームのみんなに"ありがとう"」
■ホルヘ・ロレンソ(決勝6位)
「気温はウオームアップのときと同じ。だから僕のパフォーマンスもほぼ同じで1分30秒4だった。でもリア・グリップが大幅にダウンし、序盤からどうにもならないような状態だったんだ。グリップが落ちてしまうと途端に苦しくなり、マシンの問題も2倍、3倍と大きくなってしまう。次のマレーシアでは寒さに悩まされることはないし、路面が新しいからグリップの問題もないだろう。次こそ好成績をねらうよ」
■マッシモ・メレガリ/チーム・ディレクター
「午前中のウオームアップのなかで、今日はチャンスがあると直感。セッション序盤からバレンティーノが好感触をつかんでいたため、マシンには変更を加えないことにした。あとはタイヤと、グリッド5列目スタートという問題が残っていたが、バレンティーノはその二つとも見事に克服したのだ! ここまで非常に厳しい状況が続いていただけに、最後に2位という好結果を達成して、ようやく気持ちが解放された。ホルヘもまた、グリッド12番手から懸命に挽回。本人は6位に満足していないだろうが、ウイークのなかで経験したいくつもの困難を乗り越え、本当によく頑張ってくれたと思う。バレンティーノとホルヘに最強のマシンを提供するためにベストを尽くしたチームのみんなを心から祝福し、感謝する。彼らのおかげで最悪の土曜日を返上することができた」