母国ラウンド直前のマルクインタビュー
2025/04/23
「32歳になったからといって物事をより成熟した視点で評価できる訳ではない。むしろ3年にわたるケガの復帰期間に経験したことが需要だ」
第5戦ヘレスGPへの出発を目前に控えたマルク・マルケスは、マドリードでスポンサーのイベントに登場した。幸運なファンたちとの歓談に加え、スペインのジャーナリストとの取材会を行なった。彼はポイントリーダーとしての好調な現状と、特別なレースでの勝利の可能性について語った。
>コンディション
「ヘレスが楽しみ。去年、そこで初めての表彰台を獲得したから、この流れを続けたい。必ず勝つということではなく、トップ3に入ることをウイークの目標にしている」
>変わらないもの
「アスリートの生活には多くのファクターがある。目標に向かって進むために、何かを諦めたり離したりする必要があることを理解するのは難しかった。たとえばホンダを離れること、友人たちと別れること。しかしそこには基盤がある。家族、友人、スポンサーに支持されることで挑戦に挑むモチベーションにつながる」
>兄弟
「アレックスをとても誇りに思っている。彼がこの数年をどのように管理してきたか。特に今、比較は残酷だ。インタビューで兄弟について聞かれると、爆発しそうになる。それでも彼は爆発せずにうまくやっている。我々は互いに助け合っているが、それぞれ戦略がある。彼とのタイトル争いを願っている。アレックスは僕にとって一貫したライバルだ」
>物事を感謝
「32歳になったことではなく、3年から4年間続いたケガの経験が、今この瞬間をもっと大切に思うようにさせてくれた。兄弟二人とも、今この瞬間を大切にしていることを強調したい。毎週土曜日、彼に『これは普通じゃない』と伝える。この勢いを維持しようとしているが、悪い時期もくるだろう。20歳のころより今の方が楽しめている。なぜなら、勝つことが普通でないから。普通は2位か3位、あるいはそれ以下だ」
>優位性
「優位性という言葉はなるべく避けたい言葉だ。なぜなら、ガードを緩め、集中力を削いでしまう可能性があるからだ。ミスを犯すようなものだ。オースティンでの転倒の理由はそれだと言っている訳ではない。あの瞬間を自分の規範として受け入れるということ。バイクに乗ってあんな風に感じたのは2019年以来だ。いろいろなライディングスタイルに適応できるが、ライバルは次々に現われる」
>変化
「変化はあった。あのころは自信や体力が低下していた。ケガをするたびに体調も悪化していた。でも今は逆だ。いい結果が出れば違うことに挑戦したり、何事にも冷静に受け止めることができる。だから、そういう状況に陥ることがないんだ」
>ヘレスで勝てば…
「今年、優勝争いに加わり、勝つチャンスがあれば、ほかのレースと同じように祝うだろう。去年の表彰台は、かけがえのないものだった。初めて競争力を感じた週末だった。あのレース以降、自信を深めていかなければいけないと、はっきり感じた」
>負傷中のホルヘ・マルティン
「ただ励ますだけ。自分がケガしたときは、ほかのだれにもこんな思いをさせたくないと思った。ケガしているときや感情が高ぶっているときには、何も決断しない方がいいということをアドバイスしたい」
>昨年のヘレスでの表彰台
「『わぁ、これで全力で戦えるぞ』という感じではなかったけれど、あれは転機だった。日曜日のレースだった。それを活かす必要があった。まるでジムで1カ月トレーニングしてきたみたいにアドレナリンが沸き上がってきた。今年は少なくとももう一度表彰台に上がれるといいね」
>2019年以上か以下か
「2019年のマルクより優れている訳ではない。違う。あのマルクは…僕にとって最高のシーズンだった。考え方も経験も違うから、物事の見方も違う。年末に分かるだろう。もし完走できなければ、ベストではなかったことになる。オースティンのように意図せずミスしてしまうこともある。あれは僕にとって、そしてあなたたちにとってもいい警告になった」
>より幸せ
「より強くなったとは言えないが、より落ち着いた。2019年は勝つことがすべてだった。少なくとも内心はそう感じていた。だからこそプレッシャーが大きかった。今もプレッシャーは同じだが、勝たなければならないという強い思いはない。自分に負い目を感じていない。自分が望んでいたことを達成しよううと努力してきたし、今は自分が望んでいた場所にいる」
>グレシーニ
「すべてはファクトリーマシンを乗っているかどうかにかかっている。タイトルを争いたいならファクトリーチームとファクトリーマシンこそが最良の選択。そうすればプランB
やプランCも選べる。これが理想的な状況。しかしグレシーニレーシングは常にすばらしいチームであることを証明してきた。赤いバイクは最も人気があり、我々が懸命に戦ってきたバイクだ」
>アレックスはだめ?
「アレックスについて聞かれるのはうれしい。なぜMoto3チャンピオンになったのか、なぜMoto2ヤンピオンになったのか。彼はすばらしいライダーだ。今年はそれを証明した。プレッシャーに耐え続けるのは簡単じゃない。彼はまるで8個の世界タイトルを獲得したかのように戦っている。バイクが進化し続ける限り、彼はチャンピオン候補だ。もし勝ち取れば、サプライズプレゼントを受け取るかもしれない」
>トラブルのないチーム
「始める前に言ったんだ。20歳のころのようにチームメイトとライバル関係になることはない。コース上ではライバル意識があるけれど、コース外ではみんな同じ人間だ。ドゥカティの目標は、ドゥカティレッドがタイトルを取り続けることだ」
>父親
「今は心が平和。外部からのプレッシャーはいらない。いつかそうなることを願っている」
>コース上での戦い
「現在のバイクで10年前のようなバトルを再現するのは不可能。空力の特性上、オーバーテイクは2回か3回しかできない。カタールでは、マーベリックがミスをしていなければ、もっと難しかっただろう。2027年には新しいレギュレーションが導入され、オーバーテイクも改善されるだろう。彼らはメカニズムをより公平にしようと取り組んでいる。そうすれば新たな発見があるだろう。僕個人としては、サイドbyサイドの戦い、最終ラップの攻防戦が大好き。ドビジオーゾとの戦いのようにね。戦略にも左右されるような」
>アレックスとの接触
「それについては話せない。我々は自宅やトレーニングでは互いに助け合っている。カタールのサーキットではほとんど顔を合わせていない。会えば互いの状況を話す。あの接触は、僕の責任が大きかった。レースでは様々な状況が生まれる。二人ともクラッシュする可能性もあった。それは絶対に避けたいこと。こういうアクシデントは、レースではよくあることだ」
>兄弟の利点
「コース上での利点はない。僕のスポーツキャリア全般においてもそうだったし、アレックスにとっても同じだろう。家でのトレーニングは互いに助け合う。僕は彼を強くし、彼も僕を強くしてくれる。ほかにも少人数のグループでトレーニングしているライダーがいるが、ライバル意識は成長を促す。サーキットでは強い方が勝つべきだ」
>ヘレスで円を閉じる
「輪は閉じられ、リボンも掛けられた。ヘレスではどうなるか。今週末の課題の一つは、期待を避けること。過大評価はありがたいが、現地の状況を理解しなければならない。勝てるなら挑戦するし、勝てなければそれを受け入れるしかない」
>ファンの熱狂
「ヘレスサーキットは、ファンの歓声が聞こえる数少ないサーキットの一つ。何が起こっているのかが分かるから集中力が途切れることがない。友達には『ヘレスは最高だよ。最高の雰囲気がある』と言っている。僕がスペイン人だから言っている訳じゃない。金曜日は印象的だけれど、慣れるよ」
>最高のバージョン
「僕はよりよいライダーだとは思わないが、経験は豊富だ。右腕を4回も手術した状態では右コーナーでいいライダーになれるはずがない。今では腕のことを忘れ始めている。まるで車輪のように、すべてが上向いていく」
>不屈の精神
「完ぺきを目指すこと。それが人生。不屈の精神を持つべきだ。常に成長し続けていいだろう?」
(マニュエル・ペチーノ)
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