心配されていた台風は遠のき、朝には雨がやみ太陽が顔をのぞかせた。朝のウオームアップ走行はウエットコンディションで始まったが、セッション終盤はドライコンディションでの走行になった。
ところがグリッドにマシンが並ぶころには太陽が姿を消し、怪しい雲に包まれた。そしてスタート20分前に突然激しい雨に見舞われた。雨は5分ほどで小康状態になるが、路面は完全にウエットコンディションに変わった。
雨が強まったり弱まったりする中でスタート。
ポールシッターのKawasaki Team GREENレオン・ハスラムが好スタートを切ってホールショットを奪う。1コーナーでインをついたのはRed Bull Honda with 日本郵便の高橋巧。2番手に後退したハスラムはデグナーカーブでラインを外し、高橋巧はトップ独走状態に。
2周目に5番手走行中のMuSASHi RT HARC-PRO.Hondaのランディ・ド・ピュニエがコースアウトして大きく順位を落とす波乱のスタートとなった。
【スタート~1時間経過】
スタートから10分ほどで雨はやみ、青空が広がり始めた。
Red Bull Honda with 日本郵便の高橋巧が順調にトップを走行。Kawasaki Team GREENレオン・ハスラムはヨシムラ スズキ MOTULのシルバン・ギュントーリ、YAMAHA FACTORY RACING TEAMマイケル・ファン・デル・マークと3台での2位争いを開始した。
30分が経過。トップは12周を周回。Honda Dream RT 桜井ホンダがマシントラブルでピットイン。Honda Asia-Dream Racing、ヨシムラ スズキ MOTUL、S-PULSE DREAM RACING・IAIと次々にピットに戻ってスリックタイヤに交換と慌ただしい展開。さらにYAMAHA FACTORY RACING TEAM、Kawasaki Team GREENもピットに向かい、スリックタイヤに交換。スタートから40分弱ですでに各チームが最初のピットワークとなった。
上位陣で最後にピットに入ったのはRed Bull Honda with 日本郵便。ライダー交代なしでそのまま高橋巧がコースに出る。
このピットインのタイミングでスタートから45分でヨシムラ スズキ MOTULのギュントーリがトップ浮上。それを猛然と追いかけたKawasaki Team GREENのレイ。20周目にはレイがトップ浮上。会場が沸き立った。さらにYAMAHA FACTORY RACING TEAMファン・デル・マークもレイに続いてヨシムラ スズキ MOTULのギュントーリを捕らえ2番手に浮上した。
1時間が経過すること、YAMAHA FACTORY RACING TEAMファン・デル・マークがKawasaki Team GREENのレイに肉薄。周回遅れのマシンを巻き込んでトップ争いを始めた。
ちょうど1時間が経過したとき、3番手走行中のヨシムラ スズキ MOTULのギュントーリが転倒を喫した。
【1時間~2時間】
1時間経過と同時に転倒したヨシムラ スズキ MOTULはライダーをブラッドリー・レイに替えて再びコースに出たが、すぐにピットに戻ってしまう。
30周目。YAMAHA FACTORY RACING TEAMマイケル・ファン・デル・マークがKawasaki Team GREENジョナサン・レイを捕らえてトップ浮上。しかしKawasaki Team GREENレイは冷静にトップ奪回。まるでスプリントレースを見ているかのような攻防が展開される。
トップが33周を周回したとき、6番手を走行していたTeam KAGAYAMA U.S.A.のジョー・ロバーツが転倒。すぐにピットにマシンを戻したが、順位を大きく落としてしまった。
スタートから1時間40分。YAMAHA FACTORY RACING TEAMはマイケル・ファン・デル・マークからアレックス・ロウズにライダー交代。1周遅れてKawasaki Team GREENもピットイン。ジョナサン・レイはレオン・ハスラムにバトンを渡した。
トップが47周したとき。ライダー交代してコースインしたばかりのYART-YAMAHA藤田拓哉が転倒してしまった。
ハスラムにライダー交代したKawasaki Team GREENは快調にトップで周回。YAMAHA FACTORY RACING TEAMは1秒ほど背後を周回。このトップ2台から2周遅れてライダー交代したRed Bull Honda with 日本郵便は15秒の差を取り戻そうとしていた。
そしてスタートから2時間が経過しようとするころ、ペースを上げたYAMAHA FACTORY RACING TEAMアレックス・ロウズがKawasaki Team GREENハスラムを捕らえ、ついにトップに浮上した。
2時間経過と同時にトップに躍り出たYAMAHA FACTORY RACING TEAM。今度はKawasaki Team GREENを1秒ほど引き離して周回を重ねる。3番手につけるRed Bull Honda with 日本郵便はなかなかトップ2台との差を詰められないまま単独走行。
58周目。YAMAHA FACTORY RACING TEAMロウズのペースが上がらず、Kawasaki Team GREENハスラムが首位奪回。またしてもスプリント並の激しいバトルが展開される。
60周目にはYAMAHA FACTORY RACING TEAMロウズが前に出るが、64周目にはKawasaki Team GREENがパス。
65周目。CLUBNEXT & MOTOBUMが転倒。マシンから火が出た。これでセーフティカーが導入されることに。
69周目。セーフティカー解除直後からKawasaki Team GREENとYAMAHA FACTORY RACING TEAMの接戦が再開。また、このセーフティカー導入によってRed Bull Honda with 日本郵便がトップ2台から3.7 秒差と、大きく差を詰めた。
72周目。Kawasaki Team GREENとYAMAHA FACTORY RACING TEAMが同時にピット。ジョナサン・レイに交代したKawasaki Team GREENが先にコースイン。YAMAHA FACTORY RACING TEAMはマイケル・ファン・デル・マークがバトンを受けた。このタイミングでトップに浮上したRed Bull Honda with 日本郵便は5周遅れてピットインした。これで再びトップはKawasaki Team GREEN。2番手にYAMAHA FACTORY RACING TEAMで3時間を終了となった。
【3時間~4時間】
トップのKawasaki Team GREENジョナサン・レイはYAMAHA FACTORY RACING TEAMマイケル・ファン・デル・マークをじりじりと引き離す。YAMAHA FACTORY RACING TEAMファン・デル・マークはRed Bull Honda with 日本郵便の高橋巧をじわじわと引き離す。トップ3台は淡々と周回を重ねる。
スタートから3時間45分。YAMAHA FACTORY RACING TEAMがルーティーンのピットワーク。Kawasaki Team GREENもピットに向かうが、通常よりも明らかに遅いスピードでピットロードに入り、レオン・ハスラムにバトンタッチ。Kawasaki Team GREENよりも4周遅くRed Bull Honda with 日本郵便がピットイン。中上貴晶にライダー交代。ピットインでタイムロスしたKawasaki Team GREENの前でレース復帰。トップ3はYAMAHA FACTORY RACING TEAM、Red Bull Honda with 日本郵便、Kawasaki Team GREENの順に替わった。
4時間が経過。ようやくレースは折り返した。