鈴鹿8耐公開合同テスト:ヤマハ中須賀克行「マイケルにも不安がないマシンに仕上げようとやってきた」
2019/07/10
鈴鹿8耐5連覇の偉業に挑むヤマハファクトリーレーシングチーム。エース中須賀克行と吉川和多留監督がテストの感触と8耐決勝に向けた今の思いを語った。
[ここまでの仕上がりについて]
吉川和多留
「全日本の流れから、さらなるポテンシャルアップを図ってセットアップを進めています。今シーズンは一度バランスを崩したときもありましたが、今はプラスに持ってきています。ここからライダーの助けになるよう、バイクの仕上がりでもう一押ししていきたい」
中須賀克行
「シーズンオフにマレーシアのセパンサーキットで行なったテストから、全日本と8耐を考えて進めてきました。全日本開幕戦は優勝できたけど、それからバランスを崩し、足踏みする苦しいときもありました。今は、変更したもののデータも取れてきて、明るい兆しが見えています。ここからレベルをもう一つ上げないと、ホンダに対しては厳しいかなという部分もあるけど、8耐はライダー3人のコンビネーションも重要。そう考えると総合的にはいい状態」
[マイケル・ファン・デル・マークについて]
(ファン・デル・マークは6月下旬に行なわれたSBK第7戦イタリア、ミサノで転倒、右腕の大菱形骨ととう骨、右側肋骨の2か所を骨折。ミサノ戦の翌週に鈴鹿で行なわれたプライベートテストには中須賀とアレックス・ロウズが参加した)
吉川
「マイケルは転倒から翌週には手術を行ない、出ないと思われた先週のイギリス、ドニントンにも出場して8位に入賞しています。レース後にも特に痛みは訴えていないようです。今週末のラグナセカでトラブルがなければ、そこから間隔を空けずに8耐となるので、レースに対しての不安も吹っ切れるんじゃないかなと思います。こちらはスーパーサブの野左根(航汰)もスタンバイして、どんな状況にも対応できるように準備しています」
中須賀
「去年は自分が土曜日に転倒して、レースはアレックスとマイケルの二人で優勝し、連覇の記録をつないでくれました。マイケルの転倒のシーンを見たときは、大丈夫かな、と心配でしたが、マイケルはすぐに『絶対に戻ってきて、8耐に出るぞ』と連絡をくれました。だから、不安がないマシンに仕上げようとやってきました。アレックスもいいタイムでテストをしてくれたし、コンスタントに走れるバイクを作ろうと取り組んでいます。もしマイケルが出られないとしても、自分がその分も頑張れるように準備をしていきます」
[8耐5連覇に向けて]
吉川
「盤石とは言えないが、アレックスとマイケルはSBKでいいレースをしているし、国内では野左根も参加して、レベルの高いテストができています。野左根にとっても、いつもとは違うセッティング、違うポジションで走ることで、それが勉強になっているし、ヤマハとしてレベルの底上げにもなっています。ケガをしたマイケルが走るかどうかは、一回乗ってみてどうかを判断したいです。彼らは相手のことを理解して、行動できる3人。監督としては心苦しいことを言わなくちゃいけないときもあります。例えば、中古タイヤでばかり周回することになるとか。そういったときも自然に3人で調整して、思い合ってやってくれる。いいトリオだなって思っています」
中須賀
「プレッシャーというよりも、一つ一つのレースを勝つぞ、という気持ちでやってきて、それが4連覇につながりました。8耐はいつ状況が変わるか分からないレースだし、的確に作業をしていくことが優勝につながります。その準備をするだけだと思っています」
7月9日から三日間で行なわれている鈴鹿8耐公開合同テストに、ヤマハファクトリーレーシングチームは中須賀と野左根の二人が走行。初日は2分6秒台で総合3位、4位のタイムを記録。二日目は初日よりタイムを縮める2分6秒213で総合2番手に浮上している。
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