2016スーパーバイク世界選手権(SBK)シーズンのフィナーレ、第13戦カタール・ラウンドがロサイル・インターナショナル・サーキットで開催された。Aruba.it Racing - Ducatiのチャズ・デイビスは、後半戦の好調を維持、ナイトレースのカクテルライトに照らし出されたロサイルでも圧巻のパフォーマンスを見せて、レース1、2ともに制し、連勝を6とした。デイビスは、今季11勝を挙げてシーズン最多勝ライダーの座に就いただけでなく、ファステスト・ラップも10回を数える。
チームメイトのダビデ・ジュリアーノは、レース1でライバルと接触、その際に右肩の負傷が悪化したため、レース2の欠場を余儀なくされた。
デイビスは、後半戦の猛烈な追い上げによって445ポイントを稼ぎ出して年間ライダーズ・ランキング3位、197ポイントのジュリアーノは7位。マニュファクチャラー部門では、ドゥカティは517ポイントで2位にランクされた。
レース1
3番グリッドからスタートしたデイビスは、ホールショットを奪って首位で1コーナーに入った。11周目以降に徐々にペースを上げてそのままフィニッシュ。2016年のチャンピオン、ジョナサン・レイ(カワサキ)に4秒の大差をつけるとともに、1分57秒371秒のファステスト・ラップも記録した。
ジュリアーノは、11番グリッドからのスタート。オープニングラップ中に、ペナルティを受けてしまう。レースに復帰したが、その時点で22番手までポジションを落とした。その後、ポイント圏内まで順位を戻したものの、ライバルと接触して負傷した際に、負傷した右肩を痛め、その痛みが強くなると同時に腕の状態が悪化してリタイアした。
レース1のコメント:
チャズ・デイビス(Aruba.it Racing - Ducatiスーパーバイク・チーム#7) – 優勝
「フリー走行でも予選でも力強い走行ができたので、良い結果を出す自信があった。今日はすべてがうまく行った。マシンに関しては、去年に比べて特にストレート・パフォーマンスが大幅に向上した。優勝回数を10回に伸ばせて本当に嬉しい。昨年の勝利数を2倍にできた。チーム一丸となって努力してきた結果だから、余計に嬉しい。チームにも感謝したい。レースについて言えば、全力で走りながら、後続とのギャップやタイヤ・マネージメントに気を配った。グリップの低下を感じたが、レイ(ジョナサン:カワサキ)を引き離しにかかった。サイクス(トム:カワサキ)との7ポイント差を逆転するのは容易ではないが、さすがの彼も今日の僕とジョナサンのペースにはついて来られなかった。明日も全力で戦って、結果を待ちたい。明日も勝たなければならないが、やはり混戦になるだろう」
ダビデ・ジュリアーノ(Aruba.it Racing - Ducatiスーパーバイク・チーム#34) – リタイア
「スタートでライバルとぶつかってしまい、右肩に強い衝撃を受けた。数コーナー走ったところで痛みが走り、マシンコントロールを失ってコースから大きく外れてしまった。レース復帰後はできるかぎりカムバックしたが、右腕にほとんど力が入らなくなったので、ストップせざるを得なかった。あまり周回できなかったが、今日はかなり戦闘力があったので悔いが残るリタイアになった。ラップタイムから判断すると、かなり良いリザルトが期待できたはずた。明日はしっかりとしたパフォーマンスができるようコンディションを整えたい」
アーネスト・マリネッリ(Ducati SBKプロジェクト・マネージャー)
「チャズには脱帽だ。ロサイルはストレートが長く、パニガーレRに向いているサーキットとは言えないのに、またしても驚異的な勝利を遂げてくれた。彼自身が波に乗っているだけでなく、レースチームとドゥカティのスタッフが正しい方向に進んでいるからだ。ダビデはレース前にさらに一歩前進したものの、ドイツで負傷した肩に追い打ちをかけてしまった。明日は二人とも良いリザルトを獲得する可能性がある。ダビデのコンディションが好転することを祈りたい。」
レース2
デイビスは、2番グリッドからスタート。オープニングラップで首位を奪うと、サイクスを引き連れて後続に水を開けた。8周目、路面にオイルが漏れたために赤旗中断、せっかくのギャップはゼロに戻ることになった。しかし、再スタート後は、懸命に追いすがるレイに立ちはだかり、このレースで2位に入りライダーズ・ランキング2位を確定させたサイクスを抑えて連勝した。
ジュリアーノは、フリー走行で14番手を記録したものの、右肩の状態が悪化してレースを欠場した。
レース2のコメント:
チャズ・デイビス(Aruba.it Racing - Ducatiスーパーバイク・チーム#7) – 優勝
「昨年苦労したサーキットで連勝することができた。前半はギャップをコントロールしていたが、再スタート後は短い周回のレースとなった。だが、ピットサインが見づらく、サーキットのディスプレーも見えなかったので、レース・マネージメントは困難だった。終盤、レイが迫ってきたので、最後の1周はさらにプッシュしてすべてを出し切り、表彰台の頂点に立つことができた。年間ライダーズ・ランキング2位にはなれなかったから、嬉しさ半分、悔しさ半分といったところだ。夏休み明けからは、僕達のマシンが最速だった。これからもこの方向で作業を継続して、新たなシーズンに臨みたい。安定して良いパフォーマンスを出すことができれば、大きなトロフィーを手にできるはずだ。サポートしてくれたすべての人にお礼を言いたい」
ダビデ・ジュリアーノ(Aruba.it Racing - Ducatiスーパーバイク・チーム#34)
「肩が完璧ではないので、また衝撃が加わったら悪化することは明らかだったが、とにかく最終戦を走りたかった。レース1で接触してしまい、状況が悪化した。こんなかたちでドゥカティに別れを告げるのは残念だが、素晴らしい思い出がいくつもある。この3年間で僕自身も、そしてマシンも成長することができた。僕自身、多くを学んだ。いろいろな意味で、充実した3年間を過ごした。夜遅くまでマシン開発やセットアップ確定に取り組んでくれた僕の担当クルーにお礼を言いたい。また、チームとドゥカティにも感謝の意を表すると同時に、幸運を祈りたい」
ステファノ・チェッコーニ(Aruba S.p.A CEO兼チーム代表)
「デイビスは最多勝を獲得したのに、年間ライダーズ・ランキング3位にとどまった。こんなかたちでシーズンを終えるのは、若干ではあるが悔しい気持ちもある。だが、今季は確かな手応えが掴めたので、来年はもっと大きな目標に向かえる。負傷が癒えないままレースに出場したダビデは気の毒だった。ダビデのポテンシャルは今季のリザルトよりも高いところにある。今後の彼の活躍を期待したい」
(ドゥカティ プレスリリース)