MotoGP第16戦オーストラリアGPプレビュー
2023/10/17
MotoGP第16戦オーストラリアGPが今週末、フィリップ・アイランド・グランプリ・サーキットで行なわれる。全長距離4.45km、最長ストレート900m、右コーナー5、左コーナー7。アジアラウンド3連戦の2戦目の舞台となる同サーキットは、流れるようなレイアウトが特徴的でライダー達からの人気も高い。また、最終コーナーからチェッカーフラッグまで距離があるため、例年印象的な逆転劇が繰り広げられるサーキットでもある。
第15戦インドネシアGPでは土曜日と日曜日でランキングリーダーが入れ替わるこれまでにない週末となった。ランキングトップのフランチェスコ・バニャーヤ(ドゥカティ)に僅か3ポイント差まで詰めた2位のホルヘ・マルティン(ドゥカティ)は、勢いそのままにスプリントレースで4連勝を達成。バニャーヤが8位でフィニッシュしたため、マルティンがついに最高峰クラスでは初となるポイントリーダーに躍り出た。しかし決勝レースでは状況が一変。トップを快走していたマルティンが転倒を喫しノーポイントに終わり、12番グリッドスタートのバニャーヤが優勝したことで、再度リーダーが入れ替わったのだ。マルティンの転倒もあり、両者のポイント差は18に拡大。結果的にバニャーヤがリードを広げる格好となった。ランキング3位につけるマルコ・ベゼッキ(ドゥカティ)は、インドネシアGP直前のトレーニング中に鎖骨を骨折。手術した後、インドネシアGPに強行出場するも、ランキングトップのバニャーヤとの差は63にまで拡大。さらに連戦が続くため、ベゼッキにとっては苦しい戦いが続くだろう。
インドネシアで印象的な走りを見せたアプリリア勢。特にアレイシ・エスパロガロ(アプリリア)、マーベリック・ビニャーレス(アプリリア)のワークスチームの2台は予選から好調で、決勝ではビニャーレスが2位表彰台を獲得した。優れた空力性能を誇るアプリリアにとって、高速サーキットであるフィリップ・アイランドは相性が良いサーキットと言える。しかし、同サーキットは海に面しているため、風が強い。空力に重大な影響を与えるため、やはり直線スピードに加えてマシンのポテンシャルが高いドゥカティ勢が優勝争いを繰り広げるだろう。今回もチャンピオンシップコンテンダー2名によるバトルが行われるはずだ。
ファビオ・クアルタラロ(ヤマハ)は、インドネシアGPでインドGP以来の表彰台を獲得。マシンとの相性は決して良いとは言えないフィリップ・アイランドだが、勢いを維持したいところ。チームメイトのフランコ・モルビデリ(ヤマハ)にとってヤマハでのレースは残り5戦となる。モルビデリの移籍先であるプリマ・プラマックレーシングを離れるヨハン・ザルコ(ドゥカティ)は前戦インドネシアで転倒リタイア。マシンの優位性を活かすことができるサーキットで上位進出を狙いたいところだ。
ホンダ勢はマルク・マルケス(ホンダ)がスプリント、決勝共に転倒リタイア。チームメイトのジョアン・ミル(ホンダ)もリタイアしており苦戦が続いている。そんな中、怪我からの復帰を果たしたアレックス・リンス(ホンダ)が9位、中上貴晶(ホンダ)が11位とサテライトの2台が奮闘しポイントを持ち帰っている。ここフィリップ・アイランドではマルケスとリンスの2名が優勝を経験している。良いイメージを持っているトラックでの巻き返しを期待したい。
KTMは前戦インドネシアGPでドゥカティにコンストラクターズチャンピオンを決められてしまった。ドゥカティ勢との勝負に持ち込むことができなかったブラッド・ビンダー(KTM)とジャック・ミラー(KTM)。ミラーにとっては母国凱旋となるだけに、一矢報いたいところである。
アウグスト・フェルナンデス(ガスガス)とペドロ・アコスタという来季のラインナップを発表したGASGASファクトリー。今季限りでレギュラーライダーのポジションを失ってしまうポル・エスパロガロ(ガスガス)にとっては意地を見せたいところだ。
Moto2クラスでは、GASGASファクトリーからMotoGPに参戦することが決まったペドロ・アコスタ(カレックス)が7勝目を挙げチャンピオンに向けて独走中。超高速バトルが展開されるフィリップ・アイランドでアコスタの連勝を阻止するライダーは現れるのだろうか。前戦では日本人ライダー唯一のポイント獲得となった羽田大河(カレックス)を筆頭に、小椋藍(カレックス)、野佐根航汰(カレックス)の活躍にも期待したい。
Moto3クラスでは、佐々木歩夢(ハスクバーナ)がサイティングラップでの転倒が影響し18位でノーポイント。ランキングトップのジャウメ・マシア(ホンダ)との差は16に拡大してしまった。また、ランキング3位のダニエル・オルガド(KTM)が佐々木に僅か1ポイント差にまで接近。インドネシアで2位表彰台を獲得したルーキーのダビド・アロンソ(ガスガス)もトップと29ポイント差の4位につけており、アロンソの勢いを考えるとチャンピオン獲得の可能性は十分に残されている。残り5戦、4名による熾烈なチャンピオン争いから目が離せない。日本人ライダー山中琉聖(ガスガス)、古里太陽(ホンダ)、鳥羽海渡(ホンダ)も調子を上げているだけに、連続入賞、そして上位フィニッシュに期待がかかる。
チャンピオン争いを占う重要な一戦、オーストラリアGPは今週金曜日から始まる。
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